2007年4月29日

マークシート用鉛筆-3- 作り方の壱

では作り方。

まずは右の図のように鉛筆を削ることからはじめる。と言っても、この図だと逆にわかりづらいかもしれないが。

その場合はその次の写真を見て欲しい。これはとりあえずすっぴんの鉛筆に対する第1ステップの削りを途中まで入れた所だ。

通常の削り方であれば角を削っていくのだが、今回は平らな縁に平行に削ることからはじめる。右の写真はまだ芯が出ていないが、最終的には芯が出るまで削り、ちょうど 180度反対側も同じように削る。

こうやると芯の所で一直線(に近い)部分ができる。これが六角形をした鉛筆の「平らな面」と平行である事が大切だ。

鉛筆を持つ際には、人間は指、特に人差し指を6つの平らな面のどれかに乗せる。力を入れる場合は、この人差し指を使って芯を紙に押し付ける。ここで、この人差し指を乗せる面と芯を削って作る線が平行でないと、力が芯に均質に、平行に伝わらない。

従って、この最初に削る2面はどうしても鉛筆の平らな面からスタートしなくてはいけない。これが通常の鉛筆の削り方との最大の違いだ。

で、とりあえず反対側も同じように削る。

この段階ではまだ芯は表出していない。

ここからさらに削り込んでいく際に、2つの面の交差ポイントが芯のほぼ中央を通るようにしないと意味がない。その位置決めのために一旦左右のバランスを見るためだ。








で、これをさらに削り込んでいって最終的にはここまでもっていく。水平方向から見るとこんな感じ。




































斜めから見るとこう。












で、ポイントは上から見た場合にこうなっていること。
わかるだろうか? 芯の所で完全なを出す必要はないのだ。どうせ描いていく過程である程度削れるしこれぐらい中央に近ければ多少ずれても太さにそうそう変わりはない。無理やり先端を尖らせるのではなく、ちょっと余らせる感じぐらいがちょうど良い。

さて、ここから先のステップだが…

実は芯を削るのはここまで、と考えて欲しい。ここから先は、木の部分を削って今削り上げた芯を気の軸から露出させていく作業になる。木の部分を取って上げないと、このままではほとんど描けないからね。

これはあくまでもイメージで、実際には芯をある程度削る羽目に陥るのだが(いや、木の部分を削っているつもりで勢いあまってしまうものだし)、とりあえず、ここから先はしばらく、芯は削らない事を意識して欲しい。

なお、芯の先端部分の微調整は最後にもう一度行う。ここの段階では気にしないように。

マークシート用鉛筆-2- 準備するもの

論より証拠。とりあえず1つ作ってみると、効能も説明しやすい。というわけで、とりあえず右に大雑把な設計図を載せた。

見てのとおり、芯をある方向からは斜めにけずるが、90度まわした角度から見るとまったく削っていないようにするのが最終目的だ。すると紙に接するのが「点」ではなく「線」になる。この線が紙に接した状態で鉛筆を手前に引くと、面が塗れることになる。


準備するものは次のとおり:
  • 新しい鉛筆
これは普段よりも一回り軟らかいものの方がよいと思うが、好みだ。鉛筆を普通に削ると、普通の使い方では紙と芯が点で接している。これを線で接するように削るので、同じ濃さで描こうとするとよけいに力が必要になる。圧力が分散するからだ。踏ん張って書くのでは意味がないので、私は一回り軟らかい物を使うことにしている。HBならばBを、Bならば2Bというのがちょうどよい辺りだろう。何種類かの硬さで作ってみて、試すのが一番だが、そこまでお金をかけていられない(といっても1本60円しないだろう?)のであれば、1回り軟らかいの、というルールを使えばよい。最近は HHB とか HBB とかいう硬度の鉛筆もあるらしいが、はっきりいって使っていないので判らない。

普段より一回り高級な鉛筆を使っておくと、さらによい。上質な鉛筆は、芯の砕け方が一様なので紙を接している部分ごとの色むらが出にくいのだ。マークシートを塗る場合には色むらがないと一発で塗ることができるが、ムラがあると何度も塗りなおす必要が出てしまい、意味がなくなる。
個人的には三菱の HI uni が大好きだが、あれは眩暈がするほど高いのが玉に瑕だ。一本100円以上する。こんなときでないと買えない。

芯が通常の鉛筆よりも一回り大きいものがある。必要な硬度のものが手に入るならばお勧めだ。基本的に芯は太ければ太いほど使いやすい。太い芯は削れば細くなるが、細い芯はどう頑張っても太くならない。クーピーの色鉛筆のようなものが鉛筆で出れば究極だなぁと思うのだが…。

  • よく切れる、薄いナイフかカッターで、刃の面が広いもの
当たり前だが、上の設計図のような形に鉛筆を削ってくれる鉛筆削りは存在しない。あるなら、誰も知らない、なんてことにはならないだろう?

で、手で鉛筆を削ることになる。とりあえず刃渡りが長く、薄いナイフが鉛筆を削るには都合がよい。刃物はよく切れるほうがむしろ安全なので、「よく切れる」という条件は本来蛇足だが、このことを知らない人が多いので一応書いておく。

ナイフなどで鉛筆を削る方法をまず学習しておいて欲しい。間違ってもマークシート用鉛筆からはじめないように。マークシート用鉛筆を作る際には、通常よりもちょっと力が必要なので、正しい削り方を知らないと手に怪我をしかねない。正しい削り方ができるようになれば、よく切れる刃物であれば鉛筆を削るのは決して難しくない。鉛筆をナイフで削る などのページを参考にして欲しい。なお、このページだと良くわからないが、ナイフで削る際には
  1. 軸を削る段階では、ナイフではなく鉛筆を動かす
  2. 芯を削る段階ではナイフを立てて、芯をこそげるようにして削る
のがコツだ。

カッターであれば、刃をケチらなければ良い。私の場合、通常のカッターを使うならば、3つ分の刃を使い、鉛筆1本を削ったら3つ分一気に捨ててしまうようにしている。通常よりも一回り刃渡りの広い奴があるが、個人的にはそちらを使っている。これならば刃は1つ分でどうにかなる。1本削ったら刃を捨ててしまうのは変わらない。これは安全のためなので、ケチらないように。生半可に切れない刃物は本当に危険なのだ。

クラフトナイフの刃渡りの大きめの物を使う、というのも手だ。やはり刃は早めに交換することが重要になる。
あとは、削りかすが飛び散らないように新聞紙を敷いてからはじめるとか、ナイフを使っているので人が周りをうようよしていない所でやるとか、そういうのは各自意識して欲しい。

マークシート用鉛筆-1- とはそもそも何か

受験ハックとかでかねないよな、とか書いたので自分でも持っているものを1つさらすことにする。マークシート用鉛筆というネタだ。てっきりこれは広く知られていると思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。なので、ここに書いておこう。


ようするにマークシートを塗りやすいように削った鉛筆を用意してマークシート型受験に備えよう、という話だ。鉛筆を馬鹿正直に先端が尖るように削るのではなく、マークシートのマークが塗りやすいように先端の形状を変える。論より証拠、右の図のように削る。ちょっと下手なのはご愛嬌だ。

するとマークを塗るのにかかる時間が少しだけ短くなる。この1秒、2秒が最後の1問分の時間を稼いでくれることがある。


このネタのオリジナルが誰なのかはわからない。私は自分で思いついて実行したのだが、後で同じことをやっている人が何人かいることを知ったので、私が最初ではないことだけは確かだと思う。これを思いついたのが高校2年の頃だから…1982年ぐらいだと思う。ちゃんと覚えていないが。

これは今まで結構役に立っている。私の代で言う「共通一次」はマークシートだし、東京理科大を受けたときも大半がマークシートだった。就職してからもTOEICのようなテストもマークシートだ。実際、2007/04/27(金) も TOEIC を受けたばかりで、その際にはこの鉛筆を久しぶりに作ってテストに臨んだ。結構ヒヤヒヤものの状態だったが、この鉛筆のおかげでほんの少しだけどゆとりができたと思う。


マークシート用鉛筆を作るのには1本平均10分ぐらい時間がかかる。新品から削りだすから、というのもあるし、慣れないから(慣れるほど大量生産しないから)というのもある。テストを終了してから再び削るなら、1本1分かからないだろう。通常のテストであれば5本もあればよいので、作るのに1時間。テストとテストの間のメンテナンスに5分ぐらい考えればよい。

シャープペンシルに比べると恐ろしく時間のロスがあるようにも見える。ただし、シャープペンシルを使うと試験中に時間のロスが発生する。この鉛筆はそのロスを試験時間外に追い出すための作業だ、と考えている。

1時間あればもう少し勉強が先に進むだろう、という正論がある。私もそうは思うが、あいにくその1時間で勉強した範囲が試験に出る保障はない。この鉛筆のための1時間の投資は確実に結果が得られるのだ。だからこれは Hack。受験の王道ではない。しかし、
「試験前にはトイレに行っておきましょう」
「眠くなるぐらい満腹になるまでご飯を食べるのはやめておきましょう」
などというのと同じ、ノウハウの一部だ。

2007年4月28日

よい転職先の見つけ方 -8- まとめ

転職先の見つけ方を一言でまとめてしまうと:

敵を知り、己を知れば、百戦危うからず

ということだ。
  • 自分が就職先に欲しいと思っていることを明確にする。
  • 自分が就職先に欲しいと思っていることの評価基準を作る。
  • また自分が就職先に欲しいと思っていることに関して、優先順位をつける。
まずはこの3点をまとめることが優先課題になる。で、これが終わったら
  • 自分が欲しいと思っている事について、それを実現するにはどうあるべきか、調べる。
  • 外部から見て、欲しいと思っていることが実現されているかどうかを調べるにはどうすればいいか考える。
  • どの会社が自分の要望を満たしているのか、常日頃から情報収集を怠らない。
という3つを行えば、よい就職先は見つかる。

一応念のために言っておこう。よい就職先を見つけるためには、自分の要望に関して一度は理想論のレベルを考えなくてはいけない。この段階で
「言うは易く、行うは難し」
とか思ってしまう人がいるようだが、これは間違いだ。自分が法律の大半に関してよく判らないからといって弁護士として法律の素人を雇ったりしないように、自分が経営のプロとしての能力がないからといって、自分を雇用する企業のCEOにも経営能力を求めないのは間違っている。

相手のCEOだって、あなたの売り(それが何であれ)の能力をあなたほど実行できるわけではないから、あなたを雇うのだ。その意味では互いの理想形は高いレベルを追求するので構わない。

ただし、あまり all or nothing では考えないほうがよい。理想形を100%貫ける経営者はそんなにいないし、いままで貫けていたとしても今後も貫ける保証はない。「妥当な範囲」に収まっているならば良しとすればよいし、そこから逸脱したならば次の仕事を探せばよいのだ。


というわけで、少しは参考になっただろうか?
ライトサーベル1本分ぐらいの情報にはなっているとよいのだが。

良い転職先の見つけ方 -7- 社員に成長を要求する

まず最初に。
「成長しろ」と言っておいて何もサポートしないとか、邪魔をするとか、そういう意味ではないので。

「うちは成長をサポートします」と言っておいて、どう見てもそれは成長じゃなくて退化だ、と言うものにお金を払う(リーダー育成と称して、体育会系の感動に押し込めようとするあれとか)とか、そういうのでもなくて。

ようするに教育に時間とお金をかけ、社員がそのコストを要求したときには「優先して」支払うかどうか、という事だ。

企業というものはたいていの場合、社員の能力の総和以上の成果は出せない。1+1>2 などという不等式は、人間の集団では絶対発生しなくて、1+1<2であることのほうが一般的だ。足を引っ張る人たちをプラスに計算しようとすると、一人当たりの平均能力を、本来より圧倒的に低く見積もらざるを得ず、それを1呼ばわりするから 1+1>2 になるのに過ぎない。

ゆえに、本来であれば足を引っ張る人たちを叩き切る、という戦略がありえる。そうすれば相互作用が悪影響の形で現れることはなくなるので、1 が本来の 1.0 に近づいていく。

とはいえ、人間の集団の挙動というのは企業においては不可避だ。というのは、最低限でもお客様との関わりという点において、教育も強制も何もしようがない人間関係がどうしても存在してしまうからだ。

そこで、1 自体の底上げを図ろう、というのが社員教育というものの考えだ。


で、社員教育を評価する場合、大雑把に2種類の目標の立て方が考えられる。

1つ目は短期に成果が現れる教育指針というもので、企業の新人研修といわれるものはこちらを主眼においている。名刺の出し方、電話の取り方などは様式美の部分があり、それをきれいに実行できるだけでも相応の効果がある。最低限度のマナーに関してはこの形式のものを一度は受ける必要がある。ただし、このような教育方法には発展性も応用性もない。基礎理論というものを教わらないからだ。だから、タクシーにおける上座下座を知っている人も、大型バスにおける上座下座は知らないことが多い(最後尾の広いベンチだと思った人、あなたは間違いです)。

2つ目は長期に成果が現れる教育方針というもので、学校教育は理想的にはこれを目指している。つまり、応用の利く基礎理論を教えることに重きを置いている教育方針で、教育完了直後は練習不足なのでギクシャクしているが、一旦教えた後の価値は高い。ごく簡単な例だと「上座下座」の定義は、「安全」と「パワーシート」としての性質で決まるので、大型バスの場合は運転手の真後ろならびにその1つ後ろの席が上座であり、バスの一番後ろのベンチはものすごく振動する上にカーブなどで振り回される部分なので酔い易く、実はかなり下座である、なんて事が判ったりするわけだ。
ただし、パワーシートとしての性質はかなり高いので、バスの中で「何をするか」によっては上座になる。あと、バスの中に掘りごたつがあって麻雀が打てるものがあるが、この場合はここが上座だ)。

さて、ではジェット機における上座下座はどうなっているのだろう (^o^)。これは正解は書かないので各自で考えるように。



短期で成果が出る教育に重きをおいている企業は、多くの場合短期離職者が多い。というか、短期離職者が多いため、投資対効果がすばやく得られるように、短期で成果が出る項目に集中してしまうのだ。

逆に基本に重きを置いている企業は、長期(干支一周分ぐらい)勤務の後の離職者が多い。他の企業でも十分応用が効く知識を持っているため、引く手あまたなのだ。


個人的には、基本に重きを置いている企業をお勧めする。実際、企業というのは人材育成が優れていて業界に人材をある程度放出できるぐらい、基礎教育に重きをおくぐらいでちょうどよいと思うのだ。このような企業を Farm と呼ぶが、 Farm 出身者は離職後も自身が育った Farm に対して大きくマイナスになるような活動に出ない。同一 Farm 出身者同士のつながりというものができ易く、また優秀な人材が揃っているため、Farm に対して大きな不利益をもたらすような行為は、Farm出身者コミュニティの中で有利に働かないのだ。結果として、ある企業が Farmと化したとしてもその成果は(帳面上には乗りにくいが)確固たるものがあり、しかも持続性はほぼある個人の就労期間(大雑把に30年)と同じぐらいの期間続くのだ。

ようするに、Farm であることを問題視しない会社がよい会社だ、という事。そのような会社は、辞めたあとでもそこに勤めていた価値がある事に気がつくだろう。


Farmにも当然優劣はある。優れた Farm には「学習の仕方」を教える社風がある、というのが私の持論だ。自発的に知識を取得すること自体が楽しくなければ続かない。また、力任せに端から順番に丸暗記していくのは効率が悪い。本質を捉え、応用で解ける分は応用を用いる。全体像を把握してから詳細を掘り進む。あるいは一点突破で難しいところを突破してから、その本質を理解する。

そういった勉強のし方のバリエーションを多く知っており、問題ごとの性質を理解している者が大勢いる所が、よい Farm になる。


よい Farm を見つけたければ、公開の勉強会などに多く出るとよい。大抵のものには飲み会がついて回るので、これは、と思う人の経歴と、どこの会社が Farm として優れていたかを教えてもらうのだ。指導者として優れていた人がいたなら、それも教えてもらう。

そうやって情報を集めて、自分に適した学習方法を採っている所を選ぶのがよいだろう。

…あ、でもそうすると、自分に適した正しい学習方法を先に知っている必要があるのか…。それはどうすればいいのかなぁ??? ちょっと思いつかない。

2007年4月25日

良い転職先の見つけ方 -6- 利益相反を起こすような2ジャンルへの進出を禁止する

仕事をしていると、ライバル関係にある2社と同時に、あるいは一定期間をおいて、仕事をすることになる場合がある。ハードウェアからシステムインテグレーションまでをこなしている総合会社、例えばNEC, IBM, HP, 富士通などの場合、自社のハードウェアを使ってくれるSIerと、自社のシステムインテグレーション部門がコンペで競合するなどということなどがありえるわけだ。

このような場合にどう対応するかが決まっているかどうか、決まっているとしてそれが妥当かどうか、という点は注意したほうがよい。これは最終的にはその会社の言動を信頼できるかという問題に関ってくる。お客様に対して二枚舌を使うような会社は、社員に対しても二枚以上の舌を使い、さらに責任転嫁までしかねない。


明確な指針が決まっていない会社の場合、そもそもこのような状態を問題視していないことが多い。そして、その場合は A 社の重要な情報…企業機密とまではいかないまでも、基本的な指針などの情報を、ライバルのB社に流すのに問題はない、と考えている場合が多い。これは特に、「調査情報の再利用」をもくろむようなコンサルタント会社や、系列会社に多い。このような会社の場合、調査費を調査時間など人時で請求しており、内容の優劣による値付けをしないことが多い。このため、優秀な調査員が調査すると逆に赤字が出てしまう。そこで同じ情報を何度も売り出そうとするわけだが、その際のコストは結局ドキュメントを書くための時間以上に割り当てられないため、単にジリ貧に陥るだけのほうが多い。このような商売のやり方は、自社社員の価値を理解していない証拠のようなものなので、とっととやめたほうが賢明だ。


さて一方、明確な指針が立っている会社の場合は2種類のパターンに分けられる。
  1. 社内情報流通を制限し、ライバル関係にある2社間の情報が内部で混ざらないようにする
  2. 同一業種に対しては一社にしかサービスを提供しない
1 のパターンはIT業界では、ハードウェアを供給できる総合会社に多い。つまり、各SIerにハードウェアを提供するための専用部隊を作り、そこと自社SIer部隊との情報交流を必要最小限に抑えることで、そのような状態が発生しないようにする、というものだ。

一方、2のパターンは「超」がつくほど高いコンサルテーション会社に多い戦略だ。自社情報がライバル会社に流れない保障もコストのうち、と言わんばかりの値付けがされるため、特に経営コンサルテーションはこの形態が信頼されることが多い。また、2の場合はある一社にサービスを提供してから、どれぐらい時間が経過したらライバル会社にサービスを提供することになるか、明確になっておりそれをお客様にも明示することが多い。


で、ここで質問。1のパターンであると主張している会社があるとしよう。社内SIer部隊と、SIerにハードウェアを供給する部隊、あるいは社外の複数のSIerそれぞれを相手にする部隊間での情報流通が本当に発生していないことをどうやって確認すればよいのだろう?

セキュリティの世界では、Covert Channel という概念がある。通常通信回線として使うことはない現象を利用して情報交換をする、というものだ。例えば、一定時刻毎にIO負荷を調査する。IO負荷が高ければ1、低ければ0とする。で、データを送信する側は所定の時刻に無駄にIOを発生させるわけだ。もちろん、そのままだと他のプロセスのせいでエラーが発生しかねないからECCビットをタップリとる。

このようなものが存在する事を考えると、「情報流通が発生していないと信じるほうがおかしい」という事が判る。いや、お互い情報を流しているつもりがなかったとしても、

「そういえば、xxxxに pSeries を卸している部隊、ここ2,3日帰りが遅いなぁ。逆に xxxx に xSeries を卸している部隊は早く帰るなぁ。
「で、yyyy へハードウェアを供給しているうちの部隊としては、20日後のコンペでyyyy社の競合として xxxx 社がいることは判っているのだが…さて、これはどういう意味だと解釈すればいいかなぁ?」

などと考えるぐらいは当然ありえるわけで。


こう考えると、1の方針の最大の問題点は利益相反と囚人のジレンマが起こり、結果としてビザンチン障害まで併発することにある。

先の例で言うと、yyyy社を相手にしている組織の長としては、xxxx社を相手にしている組織の動向を調べることで yyyy社に利益をもたらし、結果として自分が所属する組織に利益をもたらすことができる。しかし xxxx社からの信頼を失うことで、自社全体の利益は損なわれるかもしれない。厄介なことに、xxxx社が先行き短い会社であるならば、利益と言う観点からするとそれでも構わないかもしれない。

一方で、xxxx社を相手にしている組織が自分達に同じような監視体制を引いていないとは言い切れない。当然相手もこちらと同じジレンマを抱える。

もし、このまま相手と一切情報交換をしないでいたら、囚人のジレンマに陥る。これを回避するには相手と話し合いをするのがよい、と言うことになるが、じゃぁその会議の席で相手が本当のことを言うとどうしていえるだろう? xxxx社を相手にしている組織からすれば、yyyy社を相手にしている自分の組織に不利なうその情報を流し、こちらからは本当の情報(できれば、yyyy社の情報)を取得できればよいに決まっている。と言うことは、当然相手の言っていることは信頼できないわけで…これはビザンチン障害そのものになる。

ビザンチン障害を起こさないためには、全社の方針として xxxx社と yyyy社のどちらを優先するかを考えるか、互いの情報交換ならびに情報推測を Covert Channel のレベルまで禁止する必要がある。これは会社のさらに上層部が決定する必要があるだろう。しかし、Covert Channel が存在しないことはお客様にも、会社の上層部にも証明できない以上、情報交換ならびに情報推測の禁止令はまったく意味を持たない。

じゃぁどちらを優先するべきかを決定する以外手がないわけだが…となるとどちらを?


こう考えると、2のパターンの方がよい事が判る。つまり、xxxx社でも yyyy社でもどちらでもよいが、片方と商売を始めたら、もう一方との商売は止めなくてはいけないのだ。

こうしないと、社内に疑惑を持ち込み、内部闘争の要因を作り、結果として会社全体がビザンチン障害に陥り、結果として官僚主義に陥る。何をやるにも無駄に人手がかかる上に、会議ばかりで何も決まらず、結局正常パスではなく根回しとか、縁故とか、そういう本来あってはならないパスで物事が決まっていく状態…つまり Covert Channel が通信の本体になってしまう、という官僚主義を排除できなくなる。

逆に、2のパターンを取る、と経営側が明確に宣言すれば、社内にビザンチン障害を持ち込める可能性はなくなる。こうして得られた組織判断の速さは、既存の市場が拡大できないために生じるデメリットをはるかに上回る速度で、新規市場を開拓できるようになるだろう。また、既存の市場に対して商品をより多く提供するには、自分たちが提供する商品に関する情報を開示し、商品需給者同士で情報の取り合いが発生しないようにすることだ、ともわかる(*1)。


実は、Covert Channel の中で最も強力なものが、労働組合だ。そして労働組合の有効性は一過性にすぎない。

本来、労働組合と言うのは労働者の権利を守るために存在する。しかし、この目的を達成するために労働者同士を組織化するということは、会社の中に会社の指揮階層構造とは別にもうひとつの指揮階層構造を作ることを意味する。

このような指揮階層構造の上層部にとって、会社から「会社自身に代わって xxx を行って欲しい」と依頼された場合、指揮階層構造の影響力拡大のためにこのような依頼を受けてしまうだろう。しかし、これは結果として会社の指揮系統と労働組合の指揮系統の上層部同士に Covert Channel を開く、という事を意味する。つまり、そのような依頼を受けてしまうような労働組合は、もはや労働組合として機能していないのだ。

経営陣との Covert Channel の発生を最小化するには、労働組合の指揮系統自体を必要なとき以外機能させなければよいのだが、それではいざと言うときに労働組合を構築することからはじめなくてはならず、ほぼ間違いなく問題に対処できるだけのすばやさを持てない、というのが労働組合側の主張になるのだが…。

NTT, NEC, 富士通など、大手の労働組合は皆、この「会社の福利厚生機構の一部代替組織」と化している。このため、労働組合が労働組合ではなく経営陣の出先機関となっており、どのみち労働組合としての独立性を確保できていない。このような状態では、労働組合が「いざというとき」にそもそも動こうとしない危険性が高い。賃金確保のための運動が形骸化するのはこのためだ。つまり、これも一種の利益相反に伴って、組織が本来の機能を失ってしまった例と言える。


本当に重要なのは、会社の規則として労働者の権利を守ることだ。つまり労働組合などが力を持ってしまう段階で、すでにその会社の経営は失格なのだ。よい会社を選ぶ上で、この事実は結構重要なファクターになる。

*1) 商品情報を可能な限り均等に公開したほうがよい、というこの事実を突き詰めると、デバイスドライバーのようなソースコードのオープンソース化が、商売上のデメリットとして信じられている情報の機密化による商売優位性を上回る場合がある事が判るだろう。

2007年4月22日

良い転職先の見つけ方 -5- ベストを尽くす

ベストを尽くすというのも、最近の企業がよく使うセリフだ。
『お客様のために、毎日最安値』
のような量販店のうたい文句なぞ、どこでもここでも見ることができる。

お客様のためにベストを尽くすと言うと、一見「徹夜をしてがんばりました」的な力技を考えがちだが、実はこれもまったく違う。今まで出てきたものと同様、もっと本質を見なくてはいけない。


すでに何度も出ているが、お客様の真の要望と同じベクトル以外評価対象にしてはいけないという点が、まず最初に重要になる。死に物狂いでお客様が嫌がることをするのでは意味がないし、お客様の要望ベクトルと直交するような作業は価値がない。と言うことは
お客様の真の要望とベクトルを一致させる

あるいはそれに近い方向を向くことで、無駄を省くことができるはずだ。ベクトルが一致すれば一致するほど、無駄な作業がなくなり、労多くして功少なしな状態が避けられる。


力技を使うべきではないというのが次にくるポイントではないかと思う。単純作業は一旦それがルーチンとして明確になれば、より労働単価の安い人や、機械に置き換えることができる。災害時復旧に手を貸すなどといった、一過性のケースは別として多くの力技は機械化できるし、時間単価を考えると機械の方が安い。お客様にすればあなたが徹夜をしたのであろうが、機械がゴンゴン頑張ったのであろうが、違いはない。であれば、機械に頑張っていただき、あなたは十分な休息を取り、凡ミスやヒューマンエラーの類を減らすと同時に次の一手を考えることに集中するほうがよい。

どう過小評価しても、力技を人間が実行する場合に発生するヒューマンエラーはお客様からすれば「ベスト」なものからは程遠いのだから、それだけでも力技は最後の手段だと言える。


お客様が欲しがっている品質を間違えてはいけない、というのが最後のポイントではないかと思う。基本的に品質の向上はコストの増大を伴う。基本的には料金や値段が上がる、という形で反映される。ただ、一部の固定料金システムの場合…たとえばコンサルタントの場合、情報量が多すぎるとそれを読みこなすためのお客様の手間がかかる、と言う形で問題が発現する場合もある(*1)。過ぎたるは及ばざるが如しという言葉があるが、過不足なくというのはお客様満足度を向上させる上で重要なファクターだ。

もちろん、お客様が欲しがっている品質というこのテーマに関しても「自分がどういう品質を必要としているのかわかっているとは限らない」というお客様盲目の法則が適用される。この問題を解決するには、これまた前回同様正しい問いというテーマが発生する。

*1) ここで気をつけたいのは、情報の絶対量が問題ではない、と言うことだ。関連のある情報が多いのは構わない。ただ最初に要旨を準備することが大事だ。Executive Summary と言われるものを1章として用意し、2章以降にお客様にとって直接関連性のある情報を、Appendix として間接的にではあるが関連性のある情報を並べる、という形式をとればよい。

一方で、Executive が読まないのであれば、つまり読者にそのドキュメント全体を読むことを強要せざるを得ない場合は、Summary を最初においてはいけない。特に技術者用の資料は Summary は最後におくべきであって、最初ではない。大半を理解している人は最後から読んでくれるから心配しなくてよい。

問題なのは、全部を読みきり、頭の中で咀嚼した上で自力で結論を考えなくてはいけないというケースだ。全部を読まなくては結論に納得できないというのは問題の複雑さに起因しており、この場合必要な情報を削るのは逆によくないことなのだ。

単純に絶対ページ数を問題視する人がいるが、それは問題を単純化しすぎだ。アインシュタインも言っているように単純化はよい事だが、単純化しすぎるのはよくない。本質を失うからだ。ここでの本質はページ数ではない。要点が最初にあるかどうかだ。

さて、こう考えるとベストを尽くすために必要な要件で、4章までに出てきていないものは…自動化のための努力でありマニュアル化のための努力だ。これは言い換えるとこういう事を当然と思う、という事だ。

特に初回のサービスは人力に頼らざるを得ないだろうが、その際に十二分な時間的、リソース的な余裕を持たせ、作業を逐一記録し、作業後にその内容を精査、分析して、手順の本質をあぶり出し、ドキュメント化する。これを何度か繰り返した後に、自動化を進める。

自動化に当たってはとりあえずは十分な余力を持ったリソースを割り当てて、中途半端な最適化は後回しにする(不足項目があるかもしれない)。また、自動化作業自体は極力自力で行いアウトソースに期待しない(アウトソースすると暗黙知が伝わらないからだ)。自動化の過程でさらに暗黙知が形式知に変化するのでそれを拾い上げることも忘れない。


こういった自動化という目標に必要な工程に対する投資を当然と考える社風があるか、というのが重要なファクターになる。他のファクターはすでに検討が終わっている。

これはある人が新人教育成果発表で使った表現だが:


という事が真の意味で隅々までいきわたっているような会社はお客様のためにベストを尽くす会社だ、と言ってよいだろう。

逆に、これがちゃんとわかっていない会社は、結局あなたに徹夜を強要し、徹夜をして問題を解決した人を賛美して自動システムを使う人を卑下する。それが結果としてお客様に「尽くしていない」事が判らない。このような会社はあなたの労力を浪費することしか知らない。よい就職先とはいえないだろう。

2007年4月8日

良い転職先の見つけ方 -4- お客様にとって価値のある成果の提供


お客様は神様です という言葉がある。

これはある意味、真理をついている。ただし、この神様は自分が何を欲しがっているのか判っていない神様だ、と言うことを忘れてはならない。

たとえば。お客様が柘植(つげ)で出来た上質のソロバンが欲しい、と言ってきたとしよう。

もし、あなたがソロバンメーカーに勤務する営業マンの場合、多くのケースでは「ほいほい」と取って置きのソロバンを奥から取り出して、10万円で売りさばく、と言うことをするだろう。それは確かに
ソロバンメーカーとしては
正しい行為だ。

問題は「ソロバンメーカーとして正しい行為」は「商売として正しい行為」だろうか? という点にある。

お客様は柘植でできたソロバンが欲しいと言う。上質のソロバンは、玉の弾きが良く、計算していてストレスが無い。もし、このお客様が 純粋に趣味で 柘植のソロバンが欲しいと言うなら、この望みを叶えるのは問題ない。しかし、もし違ったら?

仮にこのお客様が、最近商売繁盛なために帳簿付けが大変なことになっていたのだとしよう。このままでは1日分の帳簿の計算が24時間で終わらない。そこで計算の邪魔になっている所を探した所、ソロバンの品質に思い至ったのだとしたら?

お客様が持っている問題に対し、お客様が出した解決策が的外れだった場合、どんなに上質なものを提供しても、お客様の満足度は上がらない。それはつまりお客様から見て、その会社は役立たずだ、と言うことになる。

今回紹介している『マッキンゼーのマービン・バウアー』という本の p.53 にこうある:
マービンが何としても避けようとしたのは、「間違った問いに正しい答を出す」ことである。(中略)
「企業が躓くのは、正しい問いにまちがった答を出すからではなく、まちがった問いに正しく答えるからである。多くの企業が、まちがった状況判断、まちがった前提の上に最善の決定を積み重ねていって、次第に窮地に追いつめられていく。」

まさにここにある通り、お客様は戦略レベルで誤った判断をし、それに基づいて正しい結論を出している危険性があるのだ。この場合は、「会計処理を早くする」のが目的だったはずなのに、それには「人間がソロバンをはじく速度を上げる」以外の手が無い、と思い込んだ。実際には計算機を導入するという手もあるし、人数を増やして並列処理をするという手もある(もちろん、21世紀の今日、ほぼ確実に正しい答は「会計ソフトを入れる」か「電卓を導入する」のどちらかだろう。どちらが正しいのかは、規模問題に依存する)。


ソロバンメーカーとしては、良いソロバンを売るのが正しい営業だ。

しかし、ソロバンメーカーがそもそも「計算を支援する機器を売るメーカー」という自覚に立っていたらどうだろう? ソロバンを売ることが正解だろうか?

いや、もっと大胆に「企業の会計を支援するメーカー」であれば? 会計のアウトソースサービスを売るのが正解になるかもしれない。


このような「自社の本当のサービスは何なのか」という問いは、お客様のニーズの本質を丁寧に拾い上げることによって得られる。逆に言うとこれをサボると、将来予測を踏み外す。

たとえば、1800年代に大盛況だった蒸気機関を用いたアメリカの鉄道会社、特に大陸横断鉄道会社の多くは、1900年代末にはそのほとんどが存在しない。『人間を高速に、大量に輸送する』という発想に出なかったため、航空会社に根絶やしにされたのだ。

IBMはPCを作る際に、偏った顧客にアンケートを行った。結果、「PCは玩具であり、IBMの顧客にニーズは無い」という結論に至った。この間違いのせいで初期の戦略を誤り、 OS は Microsoft に取られ、CPUは Intel に席巻され、PC本体はクローンメーカー達に勝てない…というにっちもさっちも行かない状態に追い込まれて、Lenovo に身売りする羽目に陥った。


このようにお客様の真のニーズを把握するには、時にはお客様に逆らわなくてはいけない。お客様の実情を知り、お客様が立てた戦略を否定しなくてはいけない羽目に陥ることがあるからだ。『正しい問い』を見つけ出すには、このリスクを犯す必要がある。「お客様がそういったから」と言う台詞を営業が吐いた場合に、あるいはプロジェクトマネージャーがはいた場合に、それを是とするようであってはいけない。
「馬鹿」
と言って、ケツを蹴飛ばすのが当たり前でなくてはいけないのだ。


「お客様にとって価値のある成果を出しているかどうか」
を調べるのは、意外と難しい。顧客満足度の低さが「正しい問いを探すためにずけずけと踏み入らざるを得ないから」なのか「間違った問いにいつまでも振り回されて、お客様の真の問題が解決されないから」なのか、見極めるのが難しいからだ。ただ、次のような規則はある。


  • エンジニア(別の言い方をすると下っ端)は、与えられた問いに対し、正しい答を導き出す能力を求められ、またそれを鍛えるよう期待される

  • リーダーは、与えられた問いに対し、「正しい問いは何なのか?」を探求し、正しい問いを求めるための質問をし、正しい問いを導き出す能力を求められ、またそれを鍛えるよう期待される

  • プロジェクトマネージャーは、「それは本当に正しい問いなのか?」とリーダーやエンジニアに問いただし、彼らの答が妥当なのか、ごまかしに過ぎないのかを見抜く能力が求められ、またそれを鍛えるよう期待される



この3つの立場それぞれの人と面接し、それぞれの人がこれらの能力を持ち、またそれを鍛えている事が判れば、その会社はおそらく「お客様にとって価値のある成果を出している」と思われる。

というか、私は今の所、この点に関してはこれ以上の判断戦略を持っていない。これ以上は、入社してみて周囲を見渡してからでなくては判らない事が多い。

観察においては、いくつかポイントはあると思う。

エンジニアは正しい答を導き出すために膨大な知識の蓄積を必要とする。若くて時間がある人間はエンジニアになるチャンスが高いが、年齢を重ね雑事に追われる人間はエンジニアになるチャンスが低いのはこのためだ。

リーダーはお客様の真のニーズを引きずり出す必要があるため、人間同士の対話能力と、エンジニアとしての幅広い知識が求められる。ただし、深さはエンジニアほど深くなくてもどうにかなる。

プロジェクトマネージャーに必要なのは、自分が問いを発することを恐れない心と、相手の説明の中に論理的な誤りや飛躍がないか見抜く能力になる。特に論理的飛躍や矛盾に対する感度が優れている事が求められる。優秀なエンジニアに対し、正しい問いを発することが出来るならば、そのエンジニアの持つ知識を高速に吸収できるチャンスにも恵まれる。大抵の場合、リーダーとマネージャーが同一人物になるのは、リーダーからマネージャーになる、という人事上の理由のほかに、マネージャーの能力があれば、リーダーへとスキルアップしやすいからでもあるのだ。



これらの条件を満たすべく、各人が期待されているなら、多分その組織はお客様にとって価値のある成果を、お客様にお届けできるだろう。どこか1箇所でも漏れがあれば、「お客様にとって価値がある」のではなく、「お客様の言ったまんまの」成果を届ける組織だと言うことになる。十分に賢いお客様ばかりの市場であればそれでも利益は出るかもしれないが、利幅は薄く、労多くして功少ない会社だと言うことになる。あまり働きたい環境では無いと思うぞ。

2007年4月4日

良い転職先の見つけ方 -3- 個人の尊重

あぁ、すでに3回目。一体これ、いつまで続くネタなんだろう。
自分で書いていてそう思うのだが、それぐらい深いネタなんだからしょうがない。

で、今回は前回説明した「企業倫理」の発露として、個人を尊重する会社とはどういうものなのか、について説明したい。


これは別に「仕事のやり方はあなたに任せたから、好きにやっていいよ」という意味ではない

それは只の放置プレイ


そんな、社員一人一人を孤独に追いやって、達磨法師状態に追い込むルールが良いわけが無い。もちろん、「うざい」と言いたくなるぐらいくちばしを挟まれるのは嫌だ、という気持ちはわかるが。判るがちょっと待て。

じゃぁ聞くが、優れた仕事の仕方を君たちは知っているとでもいうのか?

もちろん、会社側だってある程度は「バッファ」と言うものがあるので、その範疇に収まるようであれば、何をどうやっても構わない、と言うのはある。お客様の所に行くのに、右足からスタートするべきか左足からスタートするべきかなんぞどうでもよい、というこの辺は放置プレイの方が当然だろう。

しかし、もっと仕事の根幹の部分になると話は変わる。

あなたが今、仕事で四苦八苦しているとしよう。もし、あなたの同僚や上司、先輩などが
「あなたの代わりはいくらでもいる」
とあなたを部品扱いしているとするなら、きっと誰もあなたに手を差し伸べることは無いだろう。

あなたが四苦八苦している理由が、仕事のやり方や考え方が根本的に間違っているからだとしよう。その点を誰も指摘しないなら、それは
「あなたのパフォーマンスが上がろうが下がろうが、知ったことではない。」
と思っていると言うことだろう。
「それで、あなたのプライベートがどのように崩壊しようが知ったことではない。」
と。


徹夜を続けてギリギリで成果を出し続けている人を褒めるのは、個人の尊重ではない。馬鹿なやり方をするな、体を壊すぞと叱責し、仕事を取り上げてでも「とっとと帰って寝ろ」と言うのが個人を尊重する、と言うことだ。なぜなら、個人の尊重は突き詰めるとこうなるからだ:

あなたの代わりはいない
あなたは誰かの代わりでは無い

「あなた」が体を壊すことを、「あなた」が無理をすることを、「あなた」が法を犯すことを、看過しない。なぜならそれは「あなた」を失うことに繋がるからだ。

「あなた」がより効率よく仕事が出来るように指導・指摘する。なぜならそれによって「あなた」が自分のプライベートのための時間やリソース(収入も含めて)をより多くもてるようになるからだ。

そして、そのような「指摘・指導」をするのに、立場は関係ない。マネージャーがあなたを指導するのは当然として、同僚、先輩、後輩の立場に関係なく、問題点を指摘し、解決策を示し、成功を喜び、失敗を悲しむ。これが個人を尊重すると言うことだ。


このような方向性を是とする社風がある事。社員が互いに互いを尊重する事を是とし、尊重しないことを非とする事。そしてそれら全体が会社の方針として定まっている事。また、社員に聞いても確かにそのようになっている事(実は…などという、裏話が出てこないこと)。

まずはこの点を確認することから始めるべきだろう。

2007年4月1日

よい転職先の見つけ方-2- 企業倫理

企業倫理というものがある。私は転職先を探す際にはこれを優先度のかなり上位に置くことにしている。


ある企業が、どれぐらい倫理的に潔白であるか、というのはかなり重要なことだ。

仮に違法な方法で利益を上げ、それがばれたとしよう。当然利益を上回る罰則が下される。違法な方法を取っても利益が出ないように、罰則は利益を上回るように出来ているからだ。

にもかかわらず、あながの勤めている会社が違法行為をあなたに強要したなら…あるいは強要していなくても、あなたの労働で得られた成果を違法な形でお客様に譲渡していたら…それは あなたの勤めている会社が、あなたの労働結果を重視していない、価値のあるものと考えていない ということに他ならない。

一体、自分の労働の結果をそこまで軽視する会社にいて、何が楽しいだろう? あなたの労働結果を軽視する会社が、あなたの労働に対し高い評価を与えるとは思えないし、それはつまり昇進も昇給も当てにならない、という事でもある。すごく価値のある製品を作っても、二束三文で売り払い
「あいつは、ろくに金になるものを作らない」
などと言われかねないことを意味するのだから。


まとめなおそう。

企業倫理のレベルを高く保てる会社とは、つまりあなたの労働成果を正当に扱ってくれると言うことだし、それは極限的にはあなたをきちんと尊重してくれる会社だ、と言うことでもある。逆に、企業倫理のレベルが低い会社は、結局あなたの事を尊重してくれない。

尊重しないものに高い金を払おうとする道理は無いわけで、そのような会社では昇進・昇給はおぼつかない。

尊重しないものをお客様に売るときに、その価値に相応しい値付けなどするわけ無いし、だいたい尊重しないのだから、自分が何を売っているのかも深く考えない。と言うことは、実はお客様のことも深く考えたりなどしない。

尊重しない存在が作ったものに「良い」も「悪い」も無いのだから、『よりよいものを』などという掛け声も嘘八百だ。


逆の言い方をしよう。

企業倫理が高かろうが低かろうが、企業が「うちは違法行為を行います」などと言う看板を出すわけが無い。必ず「尊法の精神」などと言うことを言うに決まっている。だから、次のようなものをどう捉えているか、を調べるのが良いことになる。
  1. 社員を個人として尊重する
  2. お客様にとって価値のある成果の提供。利益よりも「正しいこと」「お客様のためになること」を優先する
  3. ベストを尽くす
  4. 利益相反を起こすような2ジャンルへの進出を禁止する
  5. 社員の成長を要求する
実は、最初の3つはIBMの基本ポリシーでもあるが、実はこれを言い出したのは Marvin Bower だと言われている。IBMのコンサルタントを行った際に、TJW-II に「あなたのお父さんがやったことを要約するとこうなる」と教えて、それがIBMの基本ポリシーになったのだそうだ。

IBMという会社が、今、これを守っているかどうかはともかくとして(たぶん、守っているだろうと信じているが)、この5つのポリシーがいい所を突いているのは間違いない。

Marvin Bower がこの5点を主張し始めたのは 1939年からだという。一体どのような理由で、これらを主張し始めたのか? 彼自身はどうだったのか? その結果何が得られたのか? などが書いてあるのが、今回紹介する「マッキンゼーを作った男 マービン・バウアー」という本だ。

この本を読むと、高い倫理規定を持った会社とはどのような会社に成長していくのか、見えてくる。
逆に言うと、そのような会社こそ、転職先として選ぶべき会社だ、と言うことになる。

よい転職先の見つけ方

4月からEMCに転職になるので、壮行会を開いてもらった(皆様本当にありがとう)。

で、そこで説明し忘れたのがよい転職先の見つけ方

戦略無しの転職ではただのギャンブルになってしまう。いくら私でも、よい転職先と悪い転職先の存在比率が悪い方が多い事ぐらいは知っている以上、当然私にだってなんらかの戦略はある。壮行会で説明し忘れていたのでここに書いておこう。


よい転職先を見つけるためには次の5ステップを踏むとよい、と私は考えている。
  1. 「よい転職先」の定義を決める
  2. 「よい転職先の定義」に基づいて、物差しを自分の中に作る
  3. よいリクルートエージェントを見つける
  4. リクルートエージェントに、自分がやりたいことと、「よい転職先」の定義を教える
  5. 一杯面接をして、「よい転職先」かどうかを判断する

1. 「よい転職先」の定義を決める
よく考えてみるとコレは当たり前の話なのだが、「何がよい」「何が悪い」をちゃんと決めないで「よい仕事」「よい仕事場」を求めても何も得られない。当たり前だと思っていても意外とその内容ははっきりしていないものだ。一度きちんと考えてできれば書き出してみるとよい。

これはあなた自身にとって、何が大事で何がどうでもよいことかのリストなので、このリストに「こういうのが良い」「こういうのが悪い」と言うものはない。ただ、仕事は本来ご飯を食べるための活動ではあるので、その点を無視しすぎるのは良くないと思うが。例を出そう(私の価値基準は少しは混ぜてあるが、本質的にはいろいろな人の価値観を並べたものだ)。
  • 給料が高い/給料はどうでもよい
  • 世間に貢献している/世間なんか知ったことか
  • Open Source で食っている/Proprietary Soft が一番だぜ
  • 女の子の存在比率が高い/低い
  • 家から近い/遠い
  • 活動の場がGlobalだ/地域密着だ
  • 技術力が高い/自分が活躍しやすいよう技術力が低い
  • 尊法精神が高い/法律なんかくそ食らえ
  • お客様が命だ/社員を大切にするぞ/私(CEO)の満足度以上に大切なものなどあるものか
本当に何でもよい。

あと、優先度も決めておくとよいだろう。
「家から近いが女の子がいない職場」対「家から遠いが女の子がたくさんの職場」ではどっちを取る?とかね。ただし、もし厳密に決められないなら、この段階では決めなくてもよい。

2. 「よい転職先の定義」に基づいて、物差しを自分の中に作る
1. のステップを実行してみるとすぐわかることだが、実はこれが思っているよりも難しい。難しい理由はいくつもあるが、一番の理由は 自分の中に物差しがない からだ。このため自分の要求が満たされるために必要な条件、相手に求める能力などが明確にならないのだ。


たとえば、「給料が高いほうが良い」としよう。高ければ高いほど良いのは、それはいうまでもないだろうが、では幾らなら満足だろう? 最低ラインと言うものがあると思うのだが?

基本的に、企業はあなたの会社での活動を他の人の活動と組み合わせて利益を出している。その利益の一部が貴方の給料になる。と言うことは、給料を上げるとはすなわち貴方が自分の持っている技術なり何なりで、どれぐらいの現金を作り上げる事ができるかわかっている、と言うことだ。現状の給料が安すぎるならば、それは会社に無駄があるか、貴方が自分の実力を思い違いしているか、どちらかだろう。では、あなたは今、いくら分の技術力を持っているだろう?


「世間に貢献する」と言うのも似たような難しさがある。「世間」とはどこで「貢献」とはどのようなことを指すのだろう? たとえば、IBMの研究所は
Vital to IBM, Vital to the World
(IBM に貢献する、世界に貢献する そんな研究成果を出す)
という合言葉を持っている(正確には「いた」。今はどうなんだろう???)。IBM のほうは企業だから「企業利益に適うような」ものを作る、というのは比較的優しくわかる。では「世界に貢献」のほうは???

たとえば Linux にパッチを送るのは世界に貢献していると言えるのか? そのレベルでは「誤差」のようなものだからカウントしないのか?世界とは貴方の周りのことなのか、貴方がよく知っている国は勘定に入れるのか、貴方が知らない国も勘定に入れるのか? ウェイトは? あなたの周りに多くの貢献があり、貴方の知らない国には少ししか貢献しないほうがいいのか? 逆か??


給料とか、待遇、尊法主義などいくつかの考え方に関しては、優秀な経営者かどうかという概念に行き着く。では、優秀な経営者とはどういう人の事を言うのか?!?! 当然ながら、優秀な経営者の何たるかを判らなくては、相手が優秀かどうか識別できない。と言うことは、あなた自身が結構勉強して優秀な経営者の何たるか、を理解しなくてはいけない。

たとえあなた自身が技術者であったとしても、優れたリーダーとは何か、とかそういう事を学習しなくては、相手が優秀なリーダーかどうか、識別できない。


もしかしたら、定量化できるかもしれないものについては定量化しておく。定量化できなくても比較できるようならそのやり方を覚えておく。また、項目同士の優先度もつけ方がわかるかもしれない。先ほどの例

「家から近いが女の子がいない職場」対「家から遠いが女の子がたくさんの職場」

なら、たとえば女の子の数が10%増えたら、家からの距離が10%伸びでも良いなどという、自分自身の価値観のルールが判るかもしれない。


ようするに、この段階であなたは物差しとする価値基準に関して、かなりの知識をつける必要がある事に気がつくはずだ。当然、それらの知識を身につけたうえで、良い転職先の定義からやり直す必要が出てくるわけだ。

3. よいリクルートエージェントを見つける
取り合えず、物差しができたとしよう。では次に必要なのはよいリクルートエージェントだ。

新しい職場探しを自分だけの力でやるのは、大抵の場合ナンセンスだ。自分ひとりだけのために求人情報を収集するのは効率が悪い。逆に、100人のために求人情報を収集したとしても、一人のための場合の10倍の手間にはならない。

したがって、リクルートエージェントを使って新しい職場を探すことそのものは、不思議でもなんでもない。大学でさえ、就職活動のための支援をしてくれるではないか。

問題は、リクルートエージェントからするとあなたは「大勢の中の一人」に過ぎないと言うことだ。100人のうち80人について、優れた満足度が得られればよいとするエージェントに当たってしまうと、あなたは「残り20%にならないための賭け」に出た事になってしまう。これではなんのために転職するのだかわからなくなってしまう。だから、ここに戦略が必要になる。


戦略は2つ。

1つめの戦略は、「あなたも多くのリクルートエージェントを利用する」だ。何もエージェントは一人1社しか使ってはいけない、などという法はない。2社使えば、1社あたりははずれが20% もあったとしても、2社両方がはずれになる確率は 4% にまで下がるのだ。3社使えば 0.8% だ。これぐらいの確率であれば、良い結果が得られるに違いない。

もう1つの戦略は、「あなたを満足させる確率の高いエージェントを見つける」だ。このためにも実はさらに多くのリクルートエージェントを利用することが望ましい。そこから、あなたの希望を正しく理解してくれるエージェントを見つけ出し、残りを切り捨てるわけだ。


実は2つ目の戦略はとても重要だ。リクルートエージェントは利用する際に『あなたの希望』を必ず『聞いて』くれる。問題は聞いた内容を理解してくれるかどうかにある。別に相手が悪意があるとかそういう意味ではない。リクルートエージェントの多くはリクルーターとしてのキャリアが長い。と言うことは「それ以外のキャリアは短い」と言うことだ。すると、たとえばあなたが技術者の場合、技術的な要件などはよく判っていないということ。

「Open Source で活躍している企業」
という要件だったとしよう。本当に活躍しているのか、口先だけなのか、リクルーターはほとんど判別がつかない。何しろコンピューター系の大企業はどこもカタログには「Open Source」をうたっているのだから。するといい加減にしか聞いていないリクルーターは カタログに Open Source と書いてある という理由でこの会社を推薦してくる。これではリクルーターをエージェントにして賭けをしているだけだ。

リクルーターによっては、ある程度この辺の事が判る人も要る。普段から勉強するからだが、このあたりになってくると「リクルート会社」ではなく「エージェント個人」の資質の問題になる。その意味では、よいリクルートエージェントを発見する とは「よいリクルートエージェントを仕事にしている個人に出会う」ことを意味する。逆に言うと、大手企業かどうかを重視しないほうが良い。それよりも担当者をきちんと割り当てる会社の方が良い。

ますますもって、数をこなさないと良い人には出会えない理由が判ってもらえるかと思う。

4. リクルートエージェントに、自分がやりたいことと、「よい転職先」の定義を教える
リクルートエージェントは超能力者ではない。また我々自身に比べればどのような場合でも専門知識は少ない。結果、リクルートエージェントは転職する我々からすれば「普通、常識」で済むような知識が無かったりする。

従って、リクルートエージェントには自分がやりたいこと、出来ることと、自分が欲している「よい転職先」の定義を全て、はっきりと、判り易く伝えることが大事だ。もし、自分の要望を判り易く伝えられないのでは、エージェントだって適切な判断は下せない。だから、この辺は「子供でもわかるように」表現できるようになっておこう。

こちらが説明する際に、エージェントがメモを取るかどうかは気にしなくていい。どちらかというと数週間後に最初の会社を紹介したときに、相手がこちらの言う「良い転職先」の規則を覚えていて、それに則っているかを確認する。忘れてたら、ここでグダグダな説明をするから。

2度同じようにグダグダな説明をしたら、そのエージェントは切り捨てればよい。

5. 一杯面接をして、「よい転職先」かどうかを判断する
n名のエージェントを使えば、最低限n回の面接をすることになる。
それだけの数をこなすことで、次のような点を見抜く目を養おう。
  1. あなたの言ったことを理解したエージェントは誰だったのか?
  2. あなたの考える「良い転職先」の条件と合致しているエージェントは誰だったか?
で、初回で「これは」という所が無ければ、さっくり全部断ろう。そして次を探させるのだ。

もし、今回が最初ならば、最初からベストな相手を見つけてこれるエージェントは(たとえ相手がどんなに優秀であっても)いない。エージェント側もそれは判っているので、NO と言っても大して問題ではない。

こうして何度も対面面接を行い、自分の主張を相手に説明することで、いくつかの効果も得られる。
  1. 発表練習の代わりになる
  2. 対面面接に慣れてくる
これらは、あなたが転職した後の仕事にとっても有利になるはずだ。


ここまでやったとしても、最終的に自分の判断が正しかったかどうかは、転職してみて、勤めてみなくては判らないものだ。もし、肌に合わないと思ったら、再度エージェントにコンタクトを取ればよい。最初は慰留するだろうが(*1)、最終的には手伝ってくれるはずだ。

安心してよい。世の中は広く、仕事は多い。最初の会社がベストだったなどと言うケースは滅多にないし、あったのなら何年か外を回った後、戻ればよい。あなたが他の会社で見聞きした経験は、貴重な付加価値となってあなたの評価を上げるはずだ。
*1) リクルートエージェントは、最低限3ヶ月とか6ヶ月とかの期間、あなたが勤務してくれないと紹介料をもらうことは出来ない。従って、エージェントが儲かるには次の2つの条件が最低限必要になる。
  1. 数多くの人間を新しい職場に転職させ
  2. そこで1年ぐらいはい続けてくれる。
  3. 半分以上が3年以上い続けてくれる
一過性の金を稼ぐには 1,2 で十分だが、紹介された会社からの評価を高めるには3が必要なのだ。だから、2の条件を満たすために最初は慰留する。しかし、あなたと紹介した会社の相性が本当に悪かった場合、会社もあなたも満足せず、3の条件を満たすことなく、あなたと会社の両方から、低い評価を受けることになってしまう。これでは意味がない。

このため、最終的には再転職先を探してくれるようになる。逆にそうしないエージェントも良いエージェントではない(*2)ので、切ればよい。


*2) 良い会社を見つけるには「良いとはどうある事を言うのか知る必要がある」と言った。
たとえば、良い経営者を知るには「良い経営者とはどういう人か」を知らなくてはいけない、と。コレは究極的にはあなたも「経営者としての心構え」などを勉強する必要がある、と言うことだ。

同様に、良いリクルートエージェントを見つけるには、「リクルートエージェントとはどういう仕事をする人なのか」をある程度知らなくてはいけない。この辺を理解しておくかどうかで、相手にいつ、何を期待できるのか、その辺がわかるようになるわけだ。