ある企業が、どれぐらい倫理的に潔白であるか、というのはかなり重要なことだ。
仮に違法な方法で利益を上げ、それがばれたとしよう。当然利益を上回る罰則が下される。違法な方法を取っても利益が出ないように、罰則は利益を上回るように出来ているからだ。
にもかかわらず、あながの勤めている会社が違法行為をあなたに強要したなら…あるいは強要していなくても、あなたの労働で得られた成果を違法な形でお客様に譲渡していたら…それは あなたの勤めている会社が、あなたの労働結果を重視していない、価値のあるものと考えていない ということに他ならない。
一体、自分の労働の結果をそこまで軽視する会社にいて、何が楽しいだろう? あなたの労働結果を軽視する会社が、あなたの労働に対し高い評価を与えるとは思えないし、それはつまり昇進も昇給も当てにならない、という事でもある。すごく価値のある製品を作っても、二束三文で売り払い
「あいつは、ろくに金になるものを作らない」
などと言われかねないことを意味するのだから。
まとめなおそう。
企業倫理のレベルを高く保てる会社とは、つまりあなたの労働成果を正当に扱ってくれると言うことだし、それは極限的にはあなたをきちんと尊重してくれる会社だ、と言うことでもある。逆に、企業倫理のレベルが低い会社は、結局あなたの事を尊重してくれない。
尊重しないものに高い金を払おうとする道理は無いわけで、そのような会社では昇進・昇給はおぼつかない。
尊重しないものをお客様に売るときに、その価値に相応しい値付けなどするわけ無いし、だいたい尊重しないのだから、自分が何を売っているのかも深く考えない。と言うことは、実はお客様のことも深く考えたりなどしない。
尊重しない存在が作ったものに「良い」も「悪い」も無いのだから、『よりよいものを』などという掛け声も嘘八百だ。
逆の言い方をしよう。
企業倫理が高かろうが低かろうが、企業が「うちは違法行為を行います」などと言う看板を出すわけが無い。必ず「尊法の精神」などと言うことを言うに決まっている。だから、次のようなものをどう捉えているか、を調べるのが良いことになる。
- 社員を個人として尊重する
- お客様にとって価値のある成果の提供。利益よりも「正しいこと」「お客様のためになること」を優先する
- ベストを尽くす
- 利益相反を起こすような2ジャンルへの進出を禁止する
- 社員の成長を要求する
IBMという会社が、今、これを守っているかどうかはともかくとして(たぶん、守っているだろうと信じているが)、この5つのポリシーがいい所を突いているのは間違いない。
Marvin Bower がこの5点を主張し始めたのは 1939年からだという。一体どのような理由で、これらを主張し始めたのか? 彼自身はどうだったのか? その結果何が得られたのか? などが書いてあるのが、今回紹介する「マッキンゼーを作った男 マービン・バウアー」という本だ。
この本を読むと、高い倫理規定を持った会社とはどのような会社に成長していくのか、見えてくる。
逆に言うと、そのような会社こそ、転職先として選ぶべき会社だ、と言うことになる。
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