2007年4月28日

良い転職先の見つけ方 -7- 社員に成長を要求する

まず最初に。
「成長しろ」と言っておいて何もサポートしないとか、邪魔をするとか、そういう意味ではないので。

「うちは成長をサポートします」と言っておいて、どう見てもそれは成長じゃなくて退化だ、と言うものにお金を払う(リーダー育成と称して、体育会系の感動に押し込めようとするあれとか)とか、そういうのでもなくて。

ようするに教育に時間とお金をかけ、社員がそのコストを要求したときには「優先して」支払うかどうか、という事だ。

企業というものはたいていの場合、社員の能力の総和以上の成果は出せない。1+1>2 などという不等式は、人間の集団では絶対発生しなくて、1+1<2であることのほうが一般的だ。足を引っ張る人たちをプラスに計算しようとすると、一人当たりの平均能力を、本来より圧倒的に低く見積もらざるを得ず、それを1呼ばわりするから 1+1>2 になるのに過ぎない。

ゆえに、本来であれば足を引っ張る人たちを叩き切る、という戦略がありえる。そうすれば相互作用が悪影響の形で現れることはなくなるので、1 が本来の 1.0 に近づいていく。

とはいえ、人間の集団の挙動というのは企業においては不可避だ。というのは、最低限でもお客様との関わりという点において、教育も強制も何もしようがない人間関係がどうしても存在してしまうからだ。

そこで、1 自体の底上げを図ろう、というのが社員教育というものの考えだ。


で、社員教育を評価する場合、大雑把に2種類の目標の立て方が考えられる。

1つ目は短期に成果が現れる教育指針というもので、企業の新人研修といわれるものはこちらを主眼においている。名刺の出し方、電話の取り方などは様式美の部分があり、それをきれいに実行できるだけでも相応の効果がある。最低限度のマナーに関してはこの形式のものを一度は受ける必要がある。ただし、このような教育方法には発展性も応用性もない。基礎理論というものを教わらないからだ。だから、タクシーにおける上座下座を知っている人も、大型バスにおける上座下座は知らないことが多い(最後尾の広いベンチだと思った人、あなたは間違いです)。

2つ目は長期に成果が現れる教育方針というもので、学校教育は理想的にはこれを目指している。つまり、応用の利く基礎理論を教えることに重きを置いている教育方針で、教育完了直後は練習不足なのでギクシャクしているが、一旦教えた後の価値は高い。ごく簡単な例だと「上座下座」の定義は、「安全」と「パワーシート」としての性質で決まるので、大型バスの場合は運転手の真後ろならびにその1つ後ろの席が上座であり、バスの一番後ろのベンチはものすごく振動する上にカーブなどで振り回される部分なので酔い易く、実はかなり下座である、なんて事が判ったりするわけだ。
ただし、パワーシートとしての性質はかなり高いので、バスの中で「何をするか」によっては上座になる。あと、バスの中に掘りごたつがあって麻雀が打てるものがあるが、この場合はここが上座だ)。

さて、ではジェット機における上座下座はどうなっているのだろう (^o^)。これは正解は書かないので各自で考えるように。



短期で成果が出る教育に重きをおいている企業は、多くの場合短期離職者が多い。というか、短期離職者が多いため、投資対効果がすばやく得られるように、短期で成果が出る項目に集中してしまうのだ。

逆に基本に重きを置いている企業は、長期(干支一周分ぐらい)勤務の後の離職者が多い。他の企業でも十分応用が効く知識を持っているため、引く手あまたなのだ。


個人的には、基本に重きを置いている企業をお勧めする。実際、企業というのは人材育成が優れていて業界に人材をある程度放出できるぐらい、基礎教育に重きをおくぐらいでちょうどよいと思うのだ。このような企業を Farm と呼ぶが、 Farm 出身者は離職後も自身が育った Farm に対して大きくマイナスになるような活動に出ない。同一 Farm 出身者同士のつながりというものができ易く、また優秀な人材が揃っているため、Farm に対して大きな不利益をもたらすような行為は、Farm出身者コミュニティの中で有利に働かないのだ。結果として、ある企業が Farmと化したとしてもその成果は(帳面上には乗りにくいが)確固たるものがあり、しかも持続性はほぼある個人の就労期間(大雑把に30年)と同じぐらいの期間続くのだ。

ようするに、Farm であることを問題視しない会社がよい会社だ、という事。そのような会社は、辞めたあとでもそこに勤めていた価値がある事に気がつくだろう。


Farmにも当然優劣はある。優れた Farm には「学習の仕方」を教える社風がある、というのが私の持論だ。自発的に知識を取得すること自体が楽しくなければ続かない。また、力任せに端から順番に丸暗記していくのは効率が悪い。本質を捉え、応用で解ける分は応用を用いる。全体像を把握してから詳細を掘り進む。あるいは一点突破で難しいところを突破してから、その本質を理解する。

そういった勉強のし方のバリエーションを多く知っており、問題ごとの性質を理解している者が大勢いる所が、よい Farm になる。


よい Farm を見つけたければ、公開の勉強会などに多く出るとよい。大抵のものには飲み会がついて回るので、これは、と思う人の経歴と、どこの会社が Farm として優れていたかを教えてもらうのだ。指導者として優れていた人がいたなら、それも教えてもらう。

そうやって情報を集めて、自分に適した学習方法を採っている所を選ぶのがよいだろう。

…あ、でもそうすると、自分に適した正しい学習方法を先に知っている必要があるのか…。それはどうすればいいのかなぁ??? ちょっと思いつかない。