という主張をいまだに聞くことがある。はっきり言おう。これは間違った認識だ。
仕事は常にEngineerとしての側面とLeaderとしての側面にわけることが出来る。
Engineer としての側面が要求するのは、専門知識であり、それを日常的に、意識せずとも使いこなすための訓練結果だ。確かにここに関して不利だ、というのは全くその通り。
しかし、Leaderとしての側面は全く異なるものを要求する。仲間からの信頼、この人に任せれば大丈夫という安心感、この人に任せてもらえたと言う形でのモチベーションの向上、この人が言うのだからとグループ全員に同じ方向を向かせる方向性の決定能力、の4つの能力が必要になる。
新入社員は全て、最初の内 Engineer として訓練される。その後に Leader としての訓練が始まる。一方、育児に追われる女性は、実はその中でLeader として訓練されているのだ。確かに、下っ端として復職すれば、Engineerとしての能力で周りと自分を比較してしまう。すると不利に感じるかもしれないが、それは誤った認識だ。あなたの周りにいる Engineer達は皆、これから Leader としての訓練を受けるのだから。
「そんなのは信じられない」
と言うかもしれないが、これは本当だ。その一例として次のような状況を考えよう。
あなたには二人の子供がいる。小学生の低学年と高学年だ(性別は無視しよう)。ほら。あなたはすでに Leader だ。二人の子供から見て、あなたは Leader なのだ。そして、たったこれだけのことの中に、Leaderとして重要な要素が5つ隠されている。
意外と手間の掛かる盛りだ。あなたはいつも、夕方に夕食の買出しに出かける。
「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」
というお手伝い要求を子供たちに残して出かけた。
1. 子供にでもできるように作業を分割してある
2. 子供を信頼して依頼する
3. 小さな約束をし、守る事で、子供に信頼してもらう
4. 結果に対してフィードバックをかける
5. 子供が依頼を遂行している間、あなたは彼らのそばにいる…も同然
詳細は後で見ていくとして、主婦(主夫でもいいが)というのは Leader としての5つの要素の重要性を日々体験している。逆に新人サラリーマンは5つの要素について考慮する機会が与えられることも、熟慮する余裕もないし、またそれらについて考えたからといって評価されることもない。
よくお父さんのことを「大きな息子」と表現することがある。それは結局家庭内での Leader がお母さん側にあるからだ。お父さんは(通常の場合、平サラリーマンなお父さんは特に) Engineer であって、最初から Leader として訓練されているわけではない。また、ある程度歳をとってからのお父さんは Leader かもしれないが、教育されたタイミングが結構後なので Leader であり続けること 自体、かなりの労力を消費してしまう。会社と家と、両方で Leader であり続けるのはかなり苦痛なのだ。だから、緊急時以外の Leadership を家庭では放棄する(事で船頭が二人になるのを防ごうとする)。その結果が「大きな息子」と揶揄される態度であり、メンタリティなのだ。
注意が1つ。お母さんが日々 Leadership について訓練される立場にある、というのと、それを理解して Leadership について修練を積んでいる、というのとは別の話だ。Engineer 失格のサラリーマンが大量に存在するがごとく、Leadershipについて何も理解していないお母さんも山のように存在する。そのようなお母さんは、「子育てがひと段落した」からと再就職しても、Leadership を必要とする身分にはつけないだろう。逆に
「きっと Leadershipについて学習してきたに違いない」
と会社側が勘違いして Leadership が必要な仕事を割り当てても、そのプロジェクトは崩壊するだけだろう。
結局、「仕事として」まじめに Engineering を学習するのと同じぐらい、まじめに Leadership というものについて学習していなくてはならない、という点は変わらないのだ。
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