そもそも、給料をもらわなくても生きていけるのであれば、仕事なんぞする必要は無い。好きなことをして生きていればいいのである。
しかし、それでは実は生活が成り立たない。だから仕事をするわけだ。学生までの時代と社会人との最大の違いは、「生活が成り立たない」経済状態に対し他者が支えてくれるかどうかだ、と言う事も出来る。
さて、そのお給料だが、一体誰が払ってくれているのだろうか?
あなたの会社の社長だろうか? それともアナタの上司?
営業マン?
研究員のような非営利部門の場合、営利部門である開発部隊とかだろうか?
全部間違いだ。あなたのお給料になるお金を払ってくれているのは、
あなたの会社にお金を払ってくれているお客様だ。
さて、次の問題。
お客様に何か物を売って、利益を得たとする。その利益の中からアナタの給料が払われるわけだが…そのお客様が
「もう二度と、あいつらから物を買うものか」
と思ったらどうなるだろう?
実は2つ問題が発生する。
1つ目の問題は「風評」というものだ。
あるお客様が「二度とあそこから買うものか」と思った場合、そのお客様は単にそう思うだけではなく、その事を周囲に伝えるはずなのだ。そういう話を聞いた周囲の人の何割かは
「じゃぁ、あそこから物を買おうかと思っていたが、止めようか」
という判断を下すだろう。
つまり一人のお客様が不満一杯な状態で契約を終了すると、何人かの潜在的なお客様を失っている事に等しい状態が生まれるのだ。当然、そうなればあなたの給料になるべきお金が会社に入らなくなってしまう。
2つ目の問題は「リピーター」という問題だ。
今、世界中で人口は 60億人しかいない。その20% 以上は一日の生活費が一人1円程度…というレベルにある。このような世界で、一度しか商売の相手になってくれない人ばかり増やせば、一人当たり1円づつ利益をあげられても、総額で60億円しか儲けられない。
一人1000円づつにして、その代わり全人口の1割を相手にするとしても、6000億円で止まってしまうのだ。平均年俸が600万円の社員を抱えている場合、10万回しか給料は払えない。1万人を雇って10ヶ月で破綻するのか、1000人で8年ぐらい持たせるのかはともかく、その程度しか稼げないのである。
これは金額がいくらであっても同じだ。有限の人口を相手に、一人当たり有限回数しか商売しないとするならば、あなたの会社の収益の上限はたかが知れてしまうのだ。この限界を打破するには、おなじお客様から何度も利益を戴くしかない。
以上2つの点から、売買でもサービス契約でもいいから、商売をした場合、お客様に
「あぁ、この人達から物を買ってよかった」
と満足してもらわなくてはいけない。そうして
「もう一度、この人達から物を買ってもいいかな」
と思ってもらわなくてはいけない。
このお客様に満足してもらうこと。これが顧客満足… Customer Satisfaction というものだ。
あなたが会社で仕事をしているのは、お給料をもらうためであり、そのお給料はお客様が払うお金から出来ている。もし、あなたが給料を払い続けて欲しいと考えているなら、お客様に「お金を払い続けたい」と思わせなくてはいけない。
社長でも、上司でも、営業でも、営利部隊でもない。
お金を払ってくれるお客様の満足 につながるような内容を仕事としなくてはいけない。
極端に言えば、社長や上司や営業の意向なんぞどうでもよいのだ。
顧客満足の向上には何をすればいいのか、顧客満足ってどうやって測ればいいのか、などなどこのテーマは結構深いのだが、新入社員にそんなことを言って混乱させてもしょうがない。ので、私は
CS = T × T × F
を説明している。なお、最後のFはここ数年で、重要だと思うようになった。
さて、それぞれ何の略かと言うと:
最初のT | Technology つまり 「技術力」 |
---|---|
次のT | Transfer/Translate つまり 「伝える力」 |
F | Focus 「焦点」 |
2つの T は0.0 ~ 1.0 の間の値を、最後の F は -1.0 ~ 1.0 の値を取る。掛け算の結果が顧客満足度というもので -1.0 から 1.0 の間の値を取る。満足度は 0.0 が「まったく満足していない(無価値と評価される)」、1.0が「完璧な満足」と定義する。-1.0 は「ふざけるなこの野郎」で、「損害を与えた」と思われている、という状態を意味する。
この3つを正しく理解し、正しく実行しないと、わけのわからないことをやることになってしまう。
というわけで、次はこの3つについての説明だ…。
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