2007年7月24日

「考え方」と「インターネットの実装のされ方」: その2

いけない!
一月も更新をサボってしまった。

Ottawa Linux Symposium 2007 とか、帰ってきたらお客様の所での障害がえらいことになっているとか、いくつか要素が固まって、落ち着いて考える暇がなくなってた…というのはいいわけだな。

さて、話を1ヶ月前に戻して。

ちょっとした例を考えよう。

「1から100までの数を全部足した合計を求めなさい」

という問題があったとする。これを解いて欲しい。

一応答を先に行っておくと 答は 5050 なのだが、重要なのは 5050 という数字ではない。
どうやってその 5050 という答にたどり着いたのか、だ。


まずもって、1+2+3+4+....とやった人はそんなに多くはいないだろう。いないだろうが、いるかもしれない。その人は次の質問に答えて欲しい:
問1) もっと早く解く方法があったかもしれないのに、真面目に 1から 100までを足すことに腐心した理由は何?
多くの人は 『1から nまでの和は n*(n+1)/2 で求められる』という公式を使ったと思う。確か中学ぐらいで教わったはずだ。その人は次の質問に答えて欲しい:
問2) その中学のときに教わった公式は、どうやって思い出しましたか?
少なくともこの問題を読むまではこの公式を思い出してなどいなかったはずです。と言うことはこの問題を読んでから、何らかの思考が働いて、この公式を思い出したわけですよね?その思考パスを説明しなさい、という意味です。
中には「一から n*(n+1)/2 の公式を求めた」あるいは、「1+2+3+4+ ....+100 という式と、100+99+98+....+1 という式を縦に並べて、両方足すと 101 が 100個になる。2回同じ式を足しているから2で割った」というやり方をしている人がいるかもしれません。多分、このパターンが一番頭がいいんでしょうが、そういう人は多分この質問の答が難しいことも知っていると思います:
問3) 問題を読んでから、あなたがそのやり方に到着するまでの思考を他人が判るように説明しなさい。

問1から問3までは全て、同じ事を聞いています。
あなたの頭はどのように動作しているのですか? というのが問いです。

もし、この問いの真の答を世の中の平均より少し優れた人から聞くことができたら、それだけで世界中の人々の知性は少しだけ向上するはずです。最高の天才から答が得られたら、世界中の人々の知性は相当に向上するでしょう。芸術家からこの答が得られたなら、芸術のバリエーションは一気に広がるに違いありません。

いや、もっと身近な例でも。親が子供に「ものの考え方」を直接伝達できたなら、子供は学習にかかる手間を相当省けるでしょうし、子供の学力の最低ラインは親によって保証されている、と考えてもいいでしょう。

しかし、実際にはこのようなことは一度も起こっていません。
「考え方」の本質を教わって全人類のレベルが一斉にあがったことなど過去に一度もありません。
天才によるそのような貢献もありません。
芸術家は、自分がどうしてその芸術作品に行き着いたのか、ろくに説明できたためしがありません。

そして、どんな人間も生まれてからこの方、1から物事を学習し、考え方も自分で開発する必要があったために、「鳶が鷹を産む」のの何倍もの確率で 鷹が鳶を生む という状態に陥っています。


そして何よりも悲惨なことに、「考え方」を表現する方法が無いこと自体を理解しない「考え」の持ち主を生み出してしまいます。


さ、真の謎は2つです。

1) 考え方を表現できないのはなぜか?
当然理由があるはずです。

2) 考え方を伝えられないのはなぜか?
プラナリアのような下等生物は、ぶった切ってもそれぞれが個体になって
生き続けることができますが、その際に切る前の個体が持っていた記憶をある程度
継承するそうです。

また、プラナリアに「光と電撃」を条件反射として学習させた後、そのプラナリアをぶつ切りにして
別のプラナリアに食べさせると、「学習したプラナリアを食べたプラナリア」も「光」に反応する…
つまり条件反射が「伝わる」そうです。

ということは、頭の中身を伝える、という機能は少なくともプロトタイプは存在していることに
なります。なぜ、進化の過程でそれが人間に継承されなかったのか? 何か都合が悪いのか?
それともその機能を持った生物が進化するにはもっと時間が必要なのか?
これも楽しそうなテーマです。

というのを楽しみに、問1-3の内、自分が該当するものを解いてみてください。