2008年1月21日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -8- Leader 立国

20世紀、日本の基本戦略は一貫して技術立国だった。

ペリーが日本に来て、強制的に開国を迫って以来、日本の戦略は一貫して
西洋に脅されない日本を作る
だった。そのために、西洋に匹敵する軍事力を持つ必要がある。軍事力を支える技術力と資金力が必要になる。そこで富国強兵というキーワードでまい進してきた。

これは第2次世界大戦後も本質的には変わっていない。軍事力は所持できなくなったが、その分を金の力でやろうとしているのに過ぎない。そして、そのために
技術立国
というキーワードが使われてきた。

おそらく、今30代以上の年齢の人たちは小学校のときに、次のように教わったのではないだろうか?

「日本には資源がありません。ですので、外国から資源を買い、それを加工して付加価値をつけて外国に売る、という形でお金をもうけ、そのお金で日本で暮らしていく上で必要な食料などを買う必要があるのです」

これはある意味正しいし、このような商売をするためには、優秀な加工技術が低価格で供給される必要があった。日本の義務教育システムは、このような人間を作るのにもってこいのシステムだったわけだ。

しかし、1ドルが360円で初任給が10万円の時代(大雑把に言うと年俸3000ドルの時代)ならば十分太刀打ちできていたかもしれないが、今は1ドルが100円で、初任給は 25万円(大雑把に年俸30000ドル)が日本の水準だ。決して「安い労働力」とはいえない。

一方で、中国には 13億人、インドには10億人、アフリカその他をあわせると35億人の「潜在的労働者」が世界中には存在する。これらの労働市場には「1ヶ月1万円で満足する基本技術労働者」を20億人規模で、20年間供給し続ける能力がある。これらの国々では食料の自給率が高いため、このような賃金でも食べていけるわけだ(日本でこのようなことは実質不可能である)。

技術力の大きな部分を占めているのが、反復訓練による技能向上である。低賃金で労働力を供給できる国に、工業的技術力は絶対移動していく。『高度な技術力』を持つ工員を一人作るには100人規模の工員が同じ仕事をし、99人が敗退していく必要があるので、日本でこのような技術者を育成し続ける事は(国策などで大赤字を大前提にでもしない限り)不可能だろう。

つまり何を言っているかと言うと、向こう20年間の内に、日本から技術力は消え去る、と言う事だ。1億の人間が食っていく戦略として技術立国はもう成り立たない。

では何で食っていくか。

その候補の一つが Leadership なのだ。日本には「今は」技術力がある。その技術力を海外の安い労働力に移転し、その過程で彼らの Leader として入り込み、彼らに高い付加価値を作ってもらい、その「上前」で食べていく、と言う事だ。もう少しシビアな表現をするなら、

Leader立国としての日本ぐらいしか

この国が食べていくための方策は残っていない


他の産業は、よほどの才能を必要とするか、価格競争に曝されているか、地理的に狭い領域を相手にしているため「海外からの資源の輸入」という観点からは役に立たないか、どれかになってしまうのだ。

このためには Leadership を持った人材を多く育成する必要がある。
「あぁ、学校教育で Leadership を教えればいいじゃん」

…あいにくとそうは問屋がおろさないのだ。

2008年1月20日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -7- これは個人の趣味ではない

一応まとめ。
「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」
というお手伝いをお願いしたお母さん。彼女は実はこのお手伝いを指示する段階で、次の5つの事ができている必要が有る。
1. 子供にでもできるように作業を分割してある
2. 子供を信頼して依頼する
3. 小さな約束をし、守る事で、子供に信頼してもらう
4. 結果に対してフィードバックをかける
5. 子供が依頼を遂行している間、あなたは彼らのそばにいる…も同然
で、これはよく見ると
a. 事前準備
b. 子供との相互信頼の確立
c. フィードバックによる作業改善
というLeaderがなすべき3つの要素がすべて入っている事が判る。この3つの要素がチームを一体化させ、結果として:
仲間からの信頼、
この人に任せれば大丈夫という安心感、
この人に任せてもらえたと言う形でのモチベーションの向上、
この人が言うのだからとグループ全員に同じ方向を向かせる方向性の決定能力
という4つの結果を導き出す。

かくも、「お母さん」という職業は Leadership の訓練に最適であり、故に「主婦業をやっていたから仕事ができない」などというのは大嘘なのだ。主婦業をやっていたからではなく、Leadership について考えていなかったから、であれば納得もいくが、それは普通のサラリーマンでもボーっと日々の作業をこなすだけでまったく向上心を持たなければ、だめだ、と言うのと同じ話でしかない。



と、ここまでだと、

なるほど、そういう見方もあるね。
でも、本質的にはそれは個人の自由ってものではないの?

という意見があるだろう。

で、私も「20世紀中」であればその意見に同意する。が、21世紀はその意見は間違いだ、と言おう。

なぜならば、20世紀、日本は技術立国だった。21世紀は Leader立国 でなくてはいけないからだ。と言うわけで「Leader 立国って何さ」と言う話を次にするので、この話、もう少し続く。

2008年1月15日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -6- 子供が依頼を遂行している間、あなたは彼らのそばにいる…も同然

5. 子供が依頼を遂行している間、あなたは彼らのそばにいる…も同然
さて、最後だ。

1-4までの事をすべてきちんと行ったとしよう。特に4の「結果に対してフィードバックをかける」をしっかりと行ったとしよう。その上で、また「ご飯を炊いておいて頂戴」というお願いをしたとする。

基本的に子供は同じような事を同じように行うだろう。
計量し、洗米し、水を張り、炊飯器にセットし、炊飯器をセットし、スイッチを入れる。

問題は、この際の子供の心境だ。特に水を張っている時。

きちんと信頼関係が作られているならば、この子供はおいしいといってもらえるようにするために、水の量を細かく加減するはずだ。もちろん、その結果が成功かどうかはともかく、そのように考えて行動するはずだ。

「ちょっと目を離すとすぐ悪さをして…」

というこの台詞は、子供を評する親からも、部下を評する上司からも聞かれるが、この両者に共通するのは、
目を離している間、(子供|部下)は(親|上司|お客様)の事を失念する
という点だ。しかし、きちんと1-4までを行っていた場合、(子供|部下)は少なくとも手伝いをしている間

・仕事をきっちり仕上げようというモチベーションが出ている
・(親|上司|お客様)がその場で監視していなくても、相手の事を考えて行動している

という2つの条件をクリアしている事になる。


「女性は子供に縛られる」と言う。しかし、このことを見れば、正しくは「子供に縛られる」のではなく、
子供に対する Leadership が取れていない
のだと言う事が判る。Leadershipが取れていないのであれば、子供は暴れ、部下は仕事をしないだろう。そこには何も違いは無い。逆に Leadership が取れていれば、たとえ親自身の目が離れていても、その間にやるべきことを与えれば、コントロールは取れるのだ。

Leadership をとるには 1-4 までのステップが重要であり…と言う事は、定期的に、小さな仕事を頼む(別に小さくなくても本当はいいのだが)事そのものが、Leadership を維持する上で不可欠だ、と言う事が判るだろう。

Leadership をとる事で仕事を頼めるようにする、と言うのは実は一面的な見方でしかない。仕事を頼む事によって Leadership が取れるようになる。


たまに「Leadership を取れるようになったら昇進させてやろう」とバカな事を言う人がいるが、

Leadership を取るには
仕事を頼める立場に立たなくてはいけないのだ


ガソリンエンジンを動かすには最初にスターターが必要なのと同様、Leadership もスターターが必要なのだ。このスターターなしで Leadership を手に入れるのは、ものすごく小さな micro start からはじめる必要がある。

権限を与えずに「Leadership を発揮して成果を出せ」と寝言をいい、その結果が出ないと「部下が無能で」と嘆く人が多いが、そのような人間には一切の同情は無用だ。部下が無能なのではない。権限を与えていないその人が無能なのだから。

2008年1月13日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -5- 結果に対してフィードバックをかける

ご飯が炊けたら当然それを食べる事になる。ここで大事なのが:
4. 結果に対してフィードバックをかける
というこれだ。

仕事のフィードバックはとても重要だ。よくできていたならその事を伝えるべきだし、悪いところがあったらそれを指摘しなくてはいけない。そして何よりも、
その仕事をやってくれて感謝している
事を相手に伝えなくてはいけない

これが仕事をしてくれた人たちに、「あぁ、この人のために仕事をして良かった」と言う感想を与え、次の仕事のバネとなってくれるのだ。侮ってはいけない。

と言う訳で、ちゃんと「6時に帰って来た」お母さんはご飯の準備をしながら、
「あ、ちゃんとご飯炊けてる。ありがとうね」

ご飯を食べながら、
「xx ちゃんがご飯を炊いたの。おいしいね。」
「でも、おかあさん、もう少しやわらかい方がいいなぁ。
お水をほんの少しだけ多い目にするといいのよ」

と、延々、次のお手伝いモチベーションを上げるための感謝 & スキルアップのための指導をする必要があるのだ(おかぁさんは大変だねぇ)。


この感謝 & 指導に手を抜いてはならない。手を抜かないと、実は次の回でよいことがあるのだ (^o^)。
と言う訳で、続く。

2008年1月9日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -4- 小さな約束をし、守る事で、子供に信頼してもらう

3. 小さな約束をし、守る事で、子供に信頼してもらう
-3- の最後で「あなた自身は相手にとって信用されたい人か?」という問いを入れた。

一般に人間は自分が信用する人から信用されたいし、信用しない人からは信用されたくない。したがって、相手に対する「あなたを信頼しています」というメッセージは、そのままでは諸刃の剣になる。

これは自分の子供が相手であっても同じだ。いくら自分の親であっても、あまりにも嘘ばかりつくのでは信用できない。そのような者から「信頼しています」というメッセージは、嘘八百である可能性があるので、当然これまた信用が置けない。何を裏でたくらんでいるのやら…


という事は。Project Leader はまず信頼されなくてはいけない。でないと、仕事を割り振る事ができないのだ。特に自分が監視し続ける事ができない仕事を頼むには、相手を信頼するだけではなく、相手からも信頼されなくてはいけないのだ。

これが難しい。

実はここで重要になるのが「小さな約束事をして、それを守る事を繰り返す」事。

大きな守るのが難しい約束を1回守ってもあまり信頼度は上がらない。偶然約束が守れた可能性がある、と考えられてしまうのだ。そうではなく、小さな約束事を毎日守ることで、信頼を積み上げ、最終的に大きな信頼を得る。これが重要になる。

まー、実際問題として。たくさんの約束をすればいくつか守りきれないときもあるけれど、小さな約束なら、信頼の失墜量も少ない、というのもあるんだけどね。


この場合、「6時に炊き上がるようにセットする」という事は、「6時頃には帰ってくる」という暗黙の約束がある、という事だ。
「お手伝いを頼むとは、必ずカウンターで暗黙の約束をしている」
のだ。「あなたのその作業を無駄にはしませんよ」という約束を。この約束をきちんと守れば、あなたは信用され、結果としてあなたのメッセージである「あなたを信用していますよ」というメッセージも信用される、というポジティブフィードバックが形成される。

よく、「社員のモチベーションが上がらない」という悩みを持っている会社や部署を見聞きする。しかし、そもそもモチベーションというのは、
  • 自分が興味を持つ事をやる
  • 相手が自分の労に足りる相手である
というどちらか最低限度でも一方、できれば両方が成立しないと上がらないものだ。「社員の」モチベーションが上がらない場合、それは「社員に」問題があるのではなく、ご褒美をちらつかせれば良くなるものでもなく、

社員から信頼されなくなるほど、
社員を裏切り続けた会社側に問題がある

あるいは上司に問題がある場合も、
そのようなものが偉くなれる、という意味において
会社側に問題がある


というこの点をまず絶対前提として受け入れなければ、問題は解決しないのだ。


ちょっと脇にそれたが。これで判ったと思うが、お手伝いはさせたほうが親に対する信頼は増すのだ。Project Leader も小さなお願いをたくさん member に行い、それをきっちり生かす運営をするのが、信頼を増す近道なのだ。

たぶん、自分でやった方が早い、という事は多々あるだろうが、それでは信頼関係が築けない。leader と member の間も、親と子の間も。

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -3- 子供を信頼して依頼する

2番目のポイントは「子供を信頼して依頼する」だ。

これは必然的にそうならざるを得ない。依頼している自分は、子供が米を磨いでいる間も、炊飯器をセットしている間も家にいないのだ。乱暴な話、子供が何もしなかったとしてもそれを訂正するすべはない。

したがって、このような依頼をする場合は、子供を信頼するしかないのだ。

重要なのは「信頼する事そのもの」ではない。実はこの依頼は子供に
「あなたの事を信頼しているからね」
というメッセージを送っているのだ。子供に対する信頼を態度で示している、と言い換えてもいい。

一般に「信頼している」という言葉は信用されない。しかし、信頼しているという態度は信用される。これは子供に対しても、大人に対しても言える事だ。

ただしこのままだと問題が1点。
あなた自身は相手にとって信用されたい人か?

この問題を解くために、この次のポイントが重要になってくる。

2008年1月6日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -2- 子供にでもできるように作業を分割してある

最初の項目は『子供にでもできるように作業を分割してある』だ。正確には、作業を分割しすでに手順を教育してある事になる。

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットする」

というこのコマンドを実施するには、最低限でも次の知識が必要だ。

a) 「4合のお米」の計測方法が判っている
b) 4合以上お米の備蓄があり、それがどこにあるか判っている
c) 必要に応じて、お米を洗う方法がわかっている。
「必要に応じて」なのは無洗米かもしれないから。
d) 一緒に入れる水の分量がわかっている
e) お米の炊飯方法がわかっている。
多くの場合、これは炊飯器の操作方法と、タイマーの設定方法がわかっている、ということだ。

しかし、実際にはこれらのほかに次の大きな障害物を考慮しなくてはいけない。

f) 兄弟姉妹の内、年長のものがこれを実施するとする。
すると弟妹がこれを邪魔する行為に出る場合が、大雑把に 1/3 の確率で発生する。
この状態でも危険な状態に陥らず、できればお米が無駄にならないように環境が整えられている

この f の条件はプロジェクトが失敗する要因のうち、予測可能なものでなおかつ発生確率の高いものについて対策を打つ事を意味するが、お母さんという立場はこのことを常に念頭に置かなくてはいけない。

例えば、今回の場合だと、
1) お米の計測を邪魔する
2) 洗米を邪魔する
3) 水を張る段階で邪魔をする
4) 炊飯中に邪魔をする
の4通りの邪魔の仕方が考えられる。台所で真に危険なものは火と刃物だ、という事を考えると、今回「刃物」は使う必要がないので火に注意すればよい事がわかる。手順で言うと 4 だ。ここだけは死守しなくてはいけない。でないと、人死にがでかねない。

このことから、電子炊飯器を使って炊飯するべきであって、ガスの炊飯器や土鍋で炊いたりしてはいけない、ということが判る。ガス式炊飯器は電気式炊飯器に比べて より悪戯に弱い という性質を持っているからだ。

これはさらに本質を考えると、小さい子供が親がいないときに行う悪事は、親がいるときに行う悪事よりも、悪質で被害が拡大しやすい事を意味する。親がいる間は悪事は自分自身に降りかかってくるが、親さえいなければ年長者のせいにしたり、後片付けをそちらに押し付けたりできるなど、
同じリスクでより派手な悪事を行える
からだ。

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」というこのリクエストを子供に発行するためには、以上のようなポイントをすべて考慮した上で炊飯器を選択し、米びつなどを準備してから、子供にやり方を教えなくてはいけない。また、上の子供が飯ごう炊飯などのやり方を知っており、炊飯器が壊れたからといって、土鍋で炊いておくよう頼んではいけない事を意味する(少なくとも下の子と二人だけで留守番をさせているときには)。


これは、仕事における準備と環境設営と同じ事だ。仕事の場合も、同じようなポイントについて注意しつつ(あぁ、もちろん、小さな子供がどのような悪さをするのかは、気にしなくて良いが)、仕事をするために必要な環境を整える必要がある。そのためには作業内容を分割し(あるいは Engineer に分割してもらい)、注意点を教えてもらい、対策を考慮し(あるいは Engineer に考慮してもらい)、必要なことが揃っている事を確認する必要がある。


Team で仕事をする場合 Leader に期待される事に「準備」がある。お母さんというものは、日々の生活の中でこのように「準備」の大切さに直面し続けているはずなのだ。

2007年12月30日

「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」には Leadership の全てがあるお話 -1-

「子育てをしている間仕事をしていない。これは女性に不利だ」
という主張をいまだに聞くことがある。はっきり言おう。これは間違った認識だ。

仕事は常にEngineerとしての側面とLeaderとしての側面にわけることが出来る。

Engineer としての側面が要求するのは、専門知識であり、それを日常的に、意識せずとも使いこなすための訓練結果だ。確かにここに関して不利だ、というのは全くその通り。

しかし、Leaderとしての側面は全く異なるものを要求する。仲間からの信頼、この人に任せれば大丈夫という安心感、この人に任せてもらえたと言う形でのモチベーションの向上、この人が言うのだからとグループ全員に同じ方向を向かせる方向性の決定能力、の4つの能力が必要になる。

新入社員は全て、最初の内 Engineer として訓練される。その後に Leader としての訓練が始まる。一方、育児に追われる女性は、実はその中でLeader として訓練されているのだ。確かに、下っ端として復職すれば、Engineerとしての能力で周りと自分を比較してしまう。すると不利に感じるかもしれないが、それは誤った認識だ。あなたの周りにいる Engineer達は皆、これから Leader としての訓練を受けるのだから。

「そんなのは信じられない」

と言うかもしれないが、これは本当だ。その一例として次のような状況を考えよう。
あなたには二人の子供がいる。小学生の低学年と高学年だ(性別は無視しよう)。
意外と手間の掛かる盛りだ。あなたはいつも、夕方に夕食の買出しに出かける。
「4合を午後6時に炊き上がるようにセットしておいて」
というお手伝い要求を子供たちに残して出かけた。
ほら。あなたはすでに Leader だ。二人の子供から見て、あなたは Leader なのだ。そして、たったこれだけのことの中に、Leaderとして重要な要素が5つ隠されている。

1. 子供にでもできるように作業を分割してある
2. 子供を信頼して依頼する
3. 小さな約束をし、守る事で、子供に信頼してもらう
4. 結果に対してフィードバックをかける
5. 子供が依頼を遂行している間、あなたは彼らのそばにいる…も同然

詳細は後で見ていくとして、主婦(主夫でもいいが)というのは Leader としての5つの要素の重要性を日々体験している。逆に新人サラリーマンは5つの要素について考慮する機会が与えられることも、熟慮する余裕もないし、またそれらについて考えたからといって評価されることもない。

よくお父さんのことを「大きな息子」と表現することがある。それは結局家庭内での Leader がお母さん側にあるからだ。お父さんは(通常の場合、平サラリーマンなお父さんは特に) Engineer であって、最初から Leader として訓練されているわけではない。また、ある程度歳をとってからのお父さんは Leader かもしれないが、教育されたタイミングが結構後なので Leader であり続けること 自体、かなりの労力を消費してしまう。会社と家と、両方で Leader であり続けるのはかなり苦痛なのだ。だから、緊急時以外の Leadership を家庭では放棄する(事で船頭が二人になるのを防ごうとする)。その結果が「大きな息子」と揶揄される態度であり、メンタリティなのだ。

注意が1つ。お母さんが日々 Leadership について訓練される立場にある、というのと、それを理解して Leadership について修練を積んでいる、というのとは別の話だ。Engineer 失格のサラリーマンが大量に存在するがごとく、Leadershipについて何も理解していないお母さんも山のように存在する。そのようなお母さんは、「子育てがひと段落した」からと再就職しても、Leadership を必要とする身分にはつけないだろう。逆に
「きっと Leadershipについて学習してきたに違いない」
と会社側が勘違いして Leadership が必要な仕事を割り当てても、そのプロジェクトは崩壊するだけだろう。

結局、「仕事として」まじめに Engineering を学習するのと同じぐらい、まじめに Leadership というものについて学習していなくてはならない、という点は変わらないのだ。

2007年12月24日

英語をどうにかする -10- まとめ

まとめよう。

英語をどうにかするには次のようなことをまず念頭におく必要がある。
  1. 英語で伝える必要があることは何なのか考える。
    英語でなくても伝わることを、英語で伝えようとする必要はない。
  2. 「伝えよう」という熱意がまず何よりも大事だ。ちょっと努力して、すぐ諦めるようではいけない。
  3. 名詞をまずどうにかしよう。特に自分の専門に関する用語・単語は英語で書くようにしよう。カタカナでは最後の瞬間にスペルがわからなくなる。最初からアルファベットを使って書くように。
  4. 類語・類似の表現を日本語レベルで思いつく訓練をしよう。
    「洗剤」に該当する単語を思い出せなくても、「服を洗う石鹸」と表現できれば目的は達成できる。
  5. 日頃から、文章を短くする訓練をしよう。話し言葉のレベルで短く。そして主語や述語を省略しないように訓練しよう。
    長くて、主語が倒置してしまうような文章は、ただでさえ翻訳しにくいものだ。それをリアルタイムで英文に直す事など不可能に近い。普段から不明瞭な文章を話さないようにすることで、「頭の中で英語に直し易い」文章を普段からつむぎだせるようになる。そういう文章を英語に直すのは、比較的楽なはずだ。
  6. 判らない単語に拘泥しない。
    意味が後で推測できるかもしれないのだ。判らない単語はスキップして判るところをつなぎ合わせるようにしよう。
  7. 日本語混じりだって、意味は通じる。英語だけで話そうなどと拘泥する必要はない。
という7項目が今回説明した内容だ。もっと乱暴に言うと、

  • そもそも日本語を話すときに、文章を単純明瞭にする事を心がける。そうすれば英訳する際の負担は軽い。
  • 英語にできる部分から英語にする。つまり日本語の文章で、英単語がいっぱい混じっているのだってかまわない。逆に、判らないからと言って「聞くのを諦めてはならない」。
  • 類似表現をいっぱい思いつくように、普段から訓練する。
の4つにまとめることができる。


「日本語を単純明快にする」というのは、やってみれば判るが、意外と難しい。これは「明確な文章を書く」事と同義なのだが、これが至難の業なのだ。実際、「明確な文章を書く」というたった8文字のこの文章自体「明確」ではない。これは正確には:

聞き手にとって明確に意味が把握できる文章を書く

という意味だ。「自分からすれば十分明確である」と言うのは、この場合の「明確な文章」の意図に反する。従って、「単純明快な文」とは単に短い事を意味しない。必要十分な情報が入った上で、短くなくてはいけないのだ。と言うことは、1文1文が内包できる新規の情報は、少量にならざるを得ない。と言うことは、何をどの順番で言うのか、という点にまで気を使う必要がある、と言うことだ。
  • 新しい単語を使う前に、その定義を明らかにする。
  • 文の主体を可能な限り一貫させる。
  • 時間の流れを可能な限り順方向にする。
などの論文の書き方を普段から意識しないと、「最小労力で英語を話す」事はできない、と言うことになる。

最後に、「英語を話す能力は日本語を明確に話す能力に依存する」事に気がつかせてくださった、恩師の 安居院 猛 東工大名誉教授 に、ここに深く感謝いたします。

2007年12月10日

英語をどうにかする -9- これでもいいのだ

これは、某不死鳥技術社において、日本の営業本部長と米国営業本部長の間で実際に交わされた会話を元に、内容を全面的に入れ替えつつも、英語の使い方に関しては一切の嘘をついていない、記録である。

いやー、Johnson さん、
Japan の bad economy のせいで、sales が hard で don't rise ですよ。

Ah, similar here in US too.
Seems like AAA(本当はライバル会社の名前1) and XXX(本当はライバル会社の名前2) seems to be pushing very hard against us. Also EFL technology by Intel is killing us too.

Japan では AAA は not so strong だから OK なんですが、but XXX は bad feeling ですねぇ。be careful が must for XXX ですねぇ。
所で、PC Sales は entire としては how ですか?

PC Sales is divided into PC server sales and personal PC. PC server is growing, for Linux and other technology is focused by IBM, HP and other company, and they are beating up their own low end Workstation markets. However, for personal PC, it' s not growing well. PDA is taking some part of PC user off, while still, new PC user is coming in due to Internet.
そろそろ疲れてきたので、この辺にしよう。

上記、青字が日本人のセリフで、黒字がアメリカ人だ。

青字を見れば判るとおり、日本側は「単語こそ英語」だが「日本語」を喋っている。黒側は純粋な英語だ。でもちゃんと意思が通じている。「本当にこういう風に話し合ってて、意味がちゃんとかみ合っている」所が…一見すごいようで、実はすごくないところだ。

実は今まで出てきた大事なポイントを全部駆使すると、こういうことが出来るようになるのだ。
  • 文章とかの全体の流れはイントネーションと間も使って伝える
  • キーワード、特に専門用語の英語を覚える
  • 文章を短くする
  • 判らない単語はすっ飛ばす、で、後で中間を類推する
この能力があると本当に日本語でアメリカ人と話せるようになるのだ。
じゃぁ、実際、聞いている側はどういう風に聞いているのか、見てみよう。

いやー、 Yeah, Johnson さん -san,
Japan の bad economy のせいで、sales が hard で don't rise ですよ。
Ah, similar here in US too.
Seems like AAA(本当はライバル会社の名前1) and XXX(本当はライバル会社の名前2) seems to be pushing very hard against us. Also EFL technology by Intel is killing us too.
Japan では AAA は not so strong だから OK なんですが、but XXX は bad feeling ですねぇ。be careful が must for XXX ですねぇ。
所で、PC Sales は entire としては how ですか?
PC Sales is divided into PC server sales and personal PC. PC server is growing, for Linux and other technology is focused by IBM, HP and other company, and they are beating up their own low end Workstation markets. However, for personal PC, it' s not growing well. PDA is taking some part of PC user off, while still, new PC user is coming in due to Internet.
まぁ、こんな感じだ。お互いに、必要なキーワードだけは絶対にはずさないようにして、あとは単語は「音程の変化」でも同様に意味が取れるように配慮しているのがわかるだろうか?

日本語だと「所で、」のところなどは、その少し前に長い目の空白を入れて、違う話をするんだよ、という配慮などをしていた。英語側だと「However,」なんかは「ところがだねぇ~~」という感じの音程のとり方をしており、これが意味を伝えていた。

最後に、短い文章だと、英語と日本語であまり語順が変わらない、あるいはかかり方が直近の単語で済むので、ほとんど語順が変わらないことも気がついただろうか??文章が短いと、聞いている側が日本語そのものは判らなくても、相手が言わんとしている事の推測をつけやすくなるのだ。

どうだろう? これでも十分意思は通じている。
マジメに英語の文章を話せるようになる前に、このレベルを狙ってみるのはどうだろうか??

2007年12月7日

英語をどうにかする -8- あきらめるなっ!! わんもあせっ!!

"When creating the socket with asynchronous mode, or should I call it non-blokcing mode, it is very obvious to say that you must do many things which kernel was doing when using blocking mode. Communication by itself is asynchronous anyway, and hence, while in blocking mode, it was kernel, and/or libraries that was making this to act as if it is synchronous. However ...."

という英語を話しかけられたとしよう。大抵の人は次のように聞こえるのだそうだ。

"When creating the socket with asynchronous mode, or should I call it non-blokcing mode, it is very obvious to say that you must do many things which kernel was doing when using blocking mode. Communication by itself is asynchronous anyway, and hence, while in blocking mode, it was kernel, and/or libraries that was making this to act as if it is synchronous. However ...."

最初の asynchronous の辺りで力尽き、non-blocking の辺りで脳みそが拒否をはじめ、あとはもうどんどんノイズと化していく…。

当たり前だが、こんなことでは英語はどうにもならない。だってほとんど全て「認識していない」つまり「聞こえていない」のだもの(聴こえてはいるのだろうが…)。

これをどうにかするには、わからない言葉はすっ飛ばす 事を覚えなくてはいけない。つまり:

"When creating the socket with asynchronous mode, or should I call it non-blokcing mode, it is very obvious to say that you must do many things which kernel was doing when using blocking mode. Communication by itself is asynchronous anyway, and hence, while in blocking mode, it was kernel, and/or libraries that was making this to act as if it is synchronous. However ...."

のように聞け、と言うことだ。

さて、もし、あなたがネットワーク通信を行うプログラムを組んだことがあるなら、socketにはブロッキングモードと非ブロッキングモードがあるのは判るだろう。ということは次の赤字のポイントから、緑の部分の意味が推測されることになる。

"When creating the socket with asynchronous mode, or should I call it non-blokcing mode, it is very obvious to say that you must do many things which kernel was doing when using blocking mode. Communication by itself is asynchronous anyway, and hence, while in blocking mode, it was kernel, and/or libraries that was making this to act as if it is synchronous. However ...."

で、緑がわかったら、多分シンクロナスとアシンクロナスが「同期型」と「非同期型」である事が判るようになる。結果として青が埋まる。

"When creating the socket with asynchronous mode, or should I call it non-blokcing mode, it is very obvious to say that you must do many things which kernel was doing when using blocking mode. Communication by itself is asynchronous anyway, and hence, while in blocking mode, it was kernel, and/or libraries that was making this to act as if it is synchronous. However ...."

この辺りまで来ると、kernel とか library とかも意味がわかってくるので、However 以降の英語において kernel とか library というのが「カーネル」と「ライブラリ」だと言うことも類推できるようになる。


もちろん、これらのことをリアルタイムでやるのだからとても大変だ。大変だから、以上のような推理を働かせながらも、態度上は、

「まてまて、ちょっとまったーーー。
 早すぎるよ。もうちょっとゆっくり話してくれ」

という態度で臨まなくてはいけない。そうすれば相手はゆっくり話してくれるようになる。という事は推測するのにかける時間がより多くなる、と言うことで、ますます文章の予測がしやすくなる。


実は、英会話学校でずーっと英語を聞き続けることで鍛えているのはこの 理解できない単語に拘泥しない能力だ。もし、英会話学校でなかなか英語力がつかないと感じているならば、まじめに最初から全部の単語を把握して理解しようとしているからに違いない。

日本語の場合を考えてみると良く判る。日本人のほとんどは判っている単語であってもガンガンかっ飛ばす。特に疲れているとその傾向がひどい。で後で間を補完しようとして…発生するのが「まつがい」って奴だ。日本語でまつがいまくる人が、どうして英語でまつがわないように努力なんぞするのか。もう、その段階でやっていることがまつがっていることが良く判ると言うものだ。

単語が判らなくなるのは、恥でもなければ問題でもない。問題なのは「もう駄目だ」と諦めて全てを投げ出してしまうことだ。休んでもいい。負荷を減らしてもいい。

しかし、諦めるなっ。さぁ、わんもあせっ!!!

Billy は意外といいことを言っていたのだ。

2007年12月5日

英語をどうにかする -7- 短! 短!! 短!!!

『冬が始まるよ』という歌がある。槇原敬之の曲だが、あれの出だしを覚えているだろうか?

著作権の関係があるので全文引用は出来ないが、
八月の君の誕生日
から
一緒に過ごせる為の、おまじない
まで、漢字で書いても全57文字もある。普通、3,5,7 の組み合わせで一文21文字ぐらいしかないはずの歌詞の世界において、だ。

もちろん、それだけ長い一文を書いて、歌詞全体としての整合性を取る槇原敬之の才能は素晴しいが、しかし。

あの歌詞を聴いて、さ、その場で英語に訳せ、と言われたらどうだろう? 辞書を引きまくっても構わないが、何かに書き写すのではなく、全部頭の中だけで訳出して口頭で述べろ、と言われたら…

私には無理だ orz

大抵の英語は苦手、と言う人も同じだと思う。

なのに、そういう人の日本語を聞いていると、やたら長い。
そして実は文章として成り立っていない。
主語が何度も入れ替わったり、
主張点が途中ですり替わったりしている。

その日本語を英語に直そうとしたら…そりゃ、訳せないだろう。

英語の上手な人の日本語は、短い。もちろん、同時通訳レベルになるとそうでもなくなるが、中ぐらいよりちょっと上程度の人だと、英語以前に日本語が短い。

そして主語や述語など、日本語だとぼやかしたり誤魔化したりできるものを、曖昧なままにしない。そして、その日本語はそのまま英語となっても出てくる。短いからおかしな言い回しを必要とせず、順序の入れ替えも少量で済むので、頭を疲れさせない。


と言うわけで、今回のポイントは

ちゃんとした日本語を書けるようになること
短い文章で話すようにする事


これができるようになるだけでも、ずいぶんと英語が楽に出てくるようになるはずだ。