じゃぁ、今度はこれ。もう少しロングから:
見慣れている人はもう判ったでしょうか?
こ れは2005年10月22日に、 JAL 780便のエコノミークラス 18-Dで、自席についているモニターを撮影したものです。本来ならば、ビデオとかオーディオとかが楽しめるシステムなんですが、こいつを interactive モードにして『映画』を選択し、画面になかなか映画一覧が出てこないので思わず6連射をぶちかましたら出てきた画面がこれです。
たぶんベースは Monta Vista なんじゃないかなぁ、と思います。/rhs73/lib/の下にあるのが何なのか本当のところは判りませんが、ゲームか何かを実装する際に Red Hatのライブラリでも使ったのでしょう。
いや、何も飛行機の娯楽施設にLinuxが使われるようになったことを喜びたいわけでも、嘆きたいわけでもありません。今回得られた経験値はちょっと違うところにあります。
最初のほうの画像の最下段にはこうあります:
Please press Enter to activate this console.
しかし、「Enter キー」なんてありません。手元のコントローラーには。いや、もちろん、組み合わせもいろいろ試しましたとも。でも駄目です。どうしようもありません。
はっきり言いましょう。ものすごいストレスです。イライラします。要因は2つです。
1つめの要因は、『本来使えるはずの娯楽施設が使えない。回復させるための操作も出来ない』という事から来る、不自由感に基づいた不快感です。リブートさせれば直ると判っているわけですから、一刻もはやくそのような操作をして環境を回復したいのに出来ない不快感。これはこのような画面を見せられたユーザー誰もが感じることでしょう。
でも、そんなのは2つ目の要因に比べれば些細なことです。
『目の前にバグがあり、
勝手知ったる世界であり、
かつソースコードへのアクセスが阻害されている』
この不愉快さ。Richard Stallman が FSF を作るに至った不快感と本質的に同等な不快感です。
これを検出した瞬間に、GPL2.0では駄目だ!! と思いました。
GPL2.0では、結局GPLで配布されているバイナリの持ち主が、「ソースもくれ」と言えば、ソースコードがもらえる、という制約しかありません。今回バグを出したプログラムがGPLで公開されていたとしても、2つも問題があるのです。
- ソースをくれと言って、ソースが手元に到着したころには飛行機は目的地に着いている
- ソースをもらっても、キーボードがない環境ではデバッグも出来ないし、システムへの再インストールもできない
どちらも、「そりゃそうだ」としか言いようがない話に過ぎないように見えますが、これらはようするに
- GPL2.0 ではソースコードへのアクセス時定数という側面を考慮していない。
つまり、ソースコードは「いつかは」手に入るだろうが、「それがいつになるのか」の保証がない、という事です。 - GPL2.0 ではソースコードへのアクセサビリティの保障という側面を考慮していない。
つまりソースコードは得られるかもしれないが、それは、このジャンボジェットの座席システムのように著しくアクセサビリティの悪い環境でしか参照できないように細工されたメディアかもしれないのです。
GPLに対して LGPL があるように、GPL3.0では是非、コントロールレベルを複数存在させてほしい。その中にはこれらのアクセサビリティ問題についても
「常にソースコードを参照し、
常にソースコードを変更できる環境を
ユーザーに提供しなくてはいけない」
などという一見非常識なほどの制約をかけたものも用意してほしい。そして、それを選ぶ自由を、プログラマに与えてほしい。
そんな思いが去来したのが、最大の成果でした。
なお、JALの名誉のために言っておきますと、離陸5分後にはリセットをかけていただきましたし、その後はちゃんと動作していました(6連射はやっていませんが)。周囲の座席への影響もなかったようです。
ただ、そのように復旧してしまったコンソールはただひたすらに退屈なものに過ぎず、私は映画も見ずに眠ってしまったのでした…。
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